JDドットコム(京東集団)と、香港の繊維・アパレルのコングロマリットであるフォン・グループ(FUNG GROUP)傘下の小売り企業フォン・リテイリング(FUNG RETAILING)は、人工知能(AI)を使ったリテールソリューションの開発で提携する。中国でアリババグループに次ぐECの流通企業であるJDドットコムと、中華圏を中心にコンビニや「トイザらス」、「ダーバン(DURBAN)」など3000以上のリアル店舗を展開するフォン・リテイリングの両社で手を組み、オンラインとオフラインにまたがる膨大なデータを分析するAIを開発、“スマートリテール”と呼ぶ新たなリテールビジネスの確立を狙う。
両社は共同で、AIバウンダリーレス・リテール・センター(AI BOUNDARYLESS RETAIL CENTER)を設立。オンラインとリアル店舗間で価格や在庫、決済、商品情報の流れをシームレス化するAIを研究し、バーチャルフィッティングや無人化店舗などの新しいタイプの店舗開発にも生かす考え。
JDドットコムはボリュームゾーンに加え、ラグジュアリーに特化したECサイトも運営しており、昨年には欧州のラグジュアリーECであるファーフェッチにも約4億ドル(432億円)を出資している。またモバイル決済サービス「ウィーチャット(Wechat)」なども展開している。
一方フォン・グループは傘下に、フォン・リテイリングの他、中華圏最大の繊維商社であるリー&フォン、アジアで「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」などのブランド事業を展開するグローバル・ブランズグループなども抱える、川上から川下までを網羅した繊維・流通のコングロマリット企業だ。
ボウエン・シュウ(BOWEN ZHOU)=JDドットコム・バイスプレジデントは、「世界最大の小売業者として、我々は成功を確信している。フォングループは世界的なオフラインリテーラーであり、このパートナーシップにより、新しいリテールのビジョンが開けてくるはずだ」とコメントしている。