最近の「トム フォード(TOM FORD)」は、若い。特にメンズはクラシックなセットアップを核に成長してきたが、2018-19年秋冬は、メタリックカラーのアウターにパステルカラーのスーツ、サテンのスイングトップ、そしてパイソン柄のパンツなど、セクシー&ゴージャスで自信にみなぎる男性像を踏襲しながらも、若さや勢い、エネルギーにあふれる青年像にシフトしている。
この理由をトムは、「長年拠点としてきたヨーロッパを離れ、ロサンゼルスに移住したせいかもしれない」と話す。アメリカ・テキサス出身ながら、西海岸での生活は、「一言で言えば、カルチャーショックだった」とトム。「ヨーロッパのように皆が世界に目を向けているワケではなく、ある意味とてもローカルでアメリカ。でも皆が東海岸から、ヨーロッパから、そしてアジアからロサンゼルスに立ち寄って次の場所に旅立っていくから、インターナショナルでもあるし、寂しいとも思わない」とトム。そんなローカルコミュニティに支えられた生活を送っている彼から、フーデッドパーカにスエットパンツのようなカジュアルが生まれるのは、当然のことなのだろう。
鮮やかな色使いは、「毎日気温30度の開放的な街で暮らしていたら、自然とこうなるよ」と話す。なるほど、カラフルなコレクションではあるが、用いた色は基本パステル。ナイトクラブにもマッチするが、どちらかと言えば昼間、日焼けした肌にブルゾンをガバっと羽織り、オープンカーでドライブに繰り出す、そんなイメージだ。
念願のアンダーウエアについては、「5歳になる息子の前で、裸でいるわけにはいかないから(笑)」と話す。穏やかな気候の下、家族とローカルコミュニティに支えられ、時々やってくる古くからの友人をロサンゼルスで出迎える——。「トム フォード」の18-19年秋冬メンズは、彼のハッピーな毎日から生まれている。