資生堂の2017年12月期連結決算は、プレステージブランドやデジタル、eコマースなど売り上げ成長が期待できる領域への投資の効果などが現れ、売上高が前年比18.2%増の1兆51億円で創業以来初の1兆円超えとなった。営業利益はマーケティング投資効率の改善やコスト構造改革効果などにより同18.7%増の804億円、純利益は一部商品の自主回収費用に加え、米国のベアエッセンシャル(BARE ESCENTUALS)社にかかる無形固定資産などの減損損失を特別損失として計上したことなどが影響し、同29.1%減の227億円となった。
事業別の売上高は、日本事業が同13.1%増の4310億円だった。マーケティング投資を強化した中高価格帯のブランドが国内やインバウンド客を獲得し、好調を継続。中でもスキンケアとベースメイク、サンケアの領域が大幅にシェアアップした。また、シワを改善する「エリクシール シュペリエル エンリッチド リンクルクリーム S」「バイタルパーフェクション リンクルリフト ディープレチノホワイト4」が合計で170万個を超え、売り上げに寄与した。
中国事業は同22.2%増の1442億円。グローバルブランドとして位置付けている「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」や「イプサ」などが“日本製”の強みを生かし高成長を持続。パーソナルケアブランドもeコマースの売り上げがけん引した。トラベルリテール事業は同79.3%増の444億円。旅行者の増加に伴いアジアを中心に市場が拡大。世界各地の空港での広告宣伝などマーケティング活動を積極的に展開した他、トラベルリテール専用商品の導入なども売り上げ増に貢献した。
その他、米州事業は同10.1%増の1404億円、欧州事業が36.4%増の1284億円、アジアパシフィック事業が同18.8%増の541億円、プロフェッショナル事業が同6.7%増の479億円、その他が同2.3%増の143億円だった。