コペンハーゲン・ファション・ウイーク期間中の1月31日、世界最大の毛皮オークションであるコペンハーゲン・ファー(Kopenhagen Fur)が主催するデザイン・コンペティションのショーとグランプリの授賞式が行われた。同イベントは若手デザイナーの育成だけでなく、縮小傾向にあるファー産業の持続と、古くから受け継がれるクラフツマンシップを未来へとつなげる目的を持つ。グランプリの賞金は5000ユーロ(約68万円)。審査員には、毛皮の小売りと生産を行うアメリカの企業ビーシー・インターナショナル・グループ・ニューヨーク(BC International Group New York)のジェンズ・ロージェセン(Jens Laugesen)副社長、グオ・チャオ(Guo Chao)「ロフィシャル チャイナ(L'OFFICIEL CHINA)」ファッションディレクター、2018年秋冬コレクションでコペンハーゲン・ファーとコラボレーション作品を制作したエドワード・クラッチリー(Edward Crutchley)らが務めた。
今回グランプリを受賞したのは、ウエストミンスター大学に在学中で中国出身のシャンクアン・シュウ(Shangquian Xu)。審査員のロージェンセンは彼女の受賞について「ファーのテクスチャーを生かした新しいアプローチによって、進化と構築技術の成果を見せてくれた。ストリートスタイルと毛皮加工者のクラフツマンシップを並立させた、新たな創造性を高く評価する」と称賛した。授賞式に合わせて披露されたコレクションには、異なる毛長のファーを細かくつなぎ合わせた幾何学柄や3Dのバラの装飾で彩られた作品が登場した。
大学でデザインを学んでいる彼女は、これから卒業コレクションの制作を始めるそうだ。「今は、今回のコレクションでも発表した、ヴィンテージデニムや日本の伝統的な藍染めのデニムに夢中だ。手染め手織りの職人の技術についてもっとリサーチを重ね、卒業コレクションで成果を見せたい」と語った。
ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける