韓流ブームを皮切りに、韓国のトレンドはファッション業界でも大きく取り上げられるようになった。その後、BIGBANGなどのアイドルから“オルチャンメイク”といったメイクトレンドまで、“韓国らしさ”は1つのカテゴリといえるほど成長した。しかし、韓国アパレルビジネスの現状やトレンドの裏側となると、意外と知られていないのも事実だろう。そこで、“知られざる韓国アパレルの今”をテーマに、最前線にいるアパレル企業やEC業者への取材を敢行。見えてきたビジネス像を連載形式でお届けする。
初回は、韓国ブランドを日本で販売するECサイト「サードスプリング(3rd Spring)」の崔瀚友(チェ・ハンウ)リアルコマース社長をピックアップ。崔社長は韓国で長くファッションECに関わった後に日本でECサイトを開設した経歴を持ち、韓国のファッションビジネスから日本の現状まで、広く業界に精通する。まずは“韓国アパレルの今”について、話を聞いた。
WWD:「サードスプリング」というECサイトについて教えてください。
崔瀚友リアルコマース社長(以下、崔):約20の韓国ブランドをネットで販売しています。韓国にはさまざまなテイストのブランドがあるのですが、それぞれのカテゴリのトップ企業を扱っているというイメージです。おかげさまで、売り上げは昨年比80%増と成長が続いています。
WWD:価格帯は?
崔:現状は5000〜6000円の低価格帯ブランドがメーンです。韓国といえば“プチプラ”という印象が強いですが、2万〜3万円のアッパーステージ・ブランドが実は増えています。まだまだ規模は小さいですが、今後伸びてくるはず。まずは日本での安いというイメージを払拭することと、高価なアイテムを買ってもらえるように、実物を見せる場所を作ることも必要だと思います。
WWD:どんな人がターゲットですか?
崔:韓国を好きな人はもちろんのこと、もともと韓国のことを知らない人に対してもデザインで勝負していきたいと思っています。韓国まで行って洋服を買う人も多いですが、彼女らに対して安全・簡単に買える仕組みを作ることで、もっと購入者も伸びていくはずです。
WWD:韓国ファッションといえばウィメンズのイメージがありますが、メンズ市場はあるのですか?
崔:日本の男子はこだわりが強いので、少し時間はかかるかもしれませんが、広がってきていますね。きっかけは“ストリート”や“ヒッピホップ”です。ちなみに韓国の男子はこだわりが少なく、流行というものも少ないんです。
WWD:どうやって韓国ブランドを見つけるのですか?
崔:もともと韓国でECをやっていたツテもありますが、ネットで検索もします。ただ、やみくもにブランドを増やすことはなく、トレンド性に加えて、きちんと在庫を補充できるか、などの基準を作ってブランドの立ち位置を把握して選別しています。