アメリカの上流階級に長らく愛されてきた「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」は2月12日(現地時間)、創業デザイナーのキャロリーナ・ヘレラにとって最後となる2018-19年秋冬コレクションを発表した。ヘレラは今後、グローバル・ブランド・アンバサダーとして関与は続けるものの第一線からは退く考え。19年プレ・フォール・コレクションからは、セントマーチン美術大学出身のウェス・ゴードン(Wes Gordon)が後任を務める。ゴードンは16年まで自身のブランドを手掛け、近年は「キャロリーナ ヘレラ」のクリエイティブ・コンサルタントを務めていた。
最後の18-19年秋冬コレクションは、ヨーロッパのクチュールテクニックとアメリカのリアリティ、加えて彼女らしいヴィヴィッドな色使いに溢れた、まさに、今の「キャロリーナ ヘレラ」の集大成だった。ターコイズやカナリヤイエローなど色鮮やかなドレスには、フェザーをふんだんにあしらって華やかに。一方、ブラックのコートやジャケットはビーズやスパンコールで彩りつつも、ワーキングウーマンさえ着られるほど実用的だ。アニマル柄でエスニックテイストを加えつつ、奇をてらうことのない正統派のシルエットで既存顧客を安心させる。終盤には、ちょっぴり胸元をはだけてセクシーを演出しつつ、襟を立てて引き締まった印象のピュアホワイトのカッターシャツに、たっぷりの布地を使ったAラインのスカートを合わせた、まさにヘレラの代名詞的スタイルをさまざまなカラーバリエーションで披露した。フィナーレでヘレラは、アトリエの職人と登場。会場はスタンディングオベーションに包まれた。
後任デザイナーのゴードンには、“お得意様”の多いヘレラ路線を踏襲しつつ、新たな一面を加えることで新規顧客、特に若い世代を開拓することが求められる。ビューティ企業プーチ(PUIG)グループの一翼を担うブランドのビジネス規模は現在15億ドル(約1620億円)間近と言われているが、そのほとんどは22種類もある香水によるものと言われている。「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」がローラ・キム(Laura Kim)とフェルナンド・ガルシア(Fernando Garcia)で若返りを図っているよう、アメリカの上流階級に愛されてきたブランドは改革を迫られている。