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リシュモンが明かすコピー業者の手口 ラグジュアリーブランドが提供する手厚いサービスを悪用

 「カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「ピアジェ(PIAGET)」などを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)は2017年12月20日、香港に拠点を置くダイナスティ ジュエリー(DYNASTY JEWELRY以下、ダイナスティ)と、シェリー・ホイ(Shelly Hui)、デスモンド・ウォン(Desmond Wong)の2人に対してデザイン盗用などの侵害行為の禁止命令を勝ち取った。

 リシュモンはダイナスティがリシュモン傘下のブランドのデザインを盗用し、コピー商品を製造販売したと香港の高等裁判所へ提訴。コピー商品は100点以上に及び、「ヴァン クリーフ&アーペル」の“アルハンブラ”のデザインなどを模倣したと主張した。また、リシュモンの代理人によると損害額は128万ドル(約1億3800万円)相当に上るという。

 ダイナスティからのコメントは得られなかった。

 近年、ラグジュアリーブランドがヘリテージ保護のために訴訟を起こすケースが増えているが、この件で特筆すべきはリシュモン明らかにしたコピー業者の手口である。「今回の当事者らは、当社のクライアントリレーションセンターに電話を掛け、商品に関する情報を引き出そうとした。これは当社にとって初めての手口だ」とコメントしており、ラグジュアリーブランドの手厚いサービスを逆手にとった手口であることが分かる。

 リシュモンが証拠として法廷に提出した通話記録によると、シェリー・ホイは「ヴァン クリーフ&アーペル」に電話を掛け、ほとんどのコレクションについて色や素材、サイズなど細部にわたって100以上も質問したという。ホイは多岐にわたる質問の理由を「中国本土にいる友人の代わりに購入するため」と説明。さらには「市場にはとても多くのコピー商品が出回っているので心配だ」とさえ発言したという。

 ニコラ・ボス(Nicolas Bos)=ヴァン クリーフ&アーペル最高経営責任者(CEO)は本件について、「当社の製品を購入するお客さまのためにもヘリテージを守る義務がある。ここ数年、コピー製品の排除により一層の力を入れてきたが今後もこの姿勢は崩さない」とコメントした。

 また、シャビー・ノウリ(Chabi Nouri)=ピアジェCEOも「アイコニックなアイテムは簡単に作れるものではない。あらゆる努力の上に完成したデザインを盗むことは、『ピアジェ』の商品として模倣品を作る以上に許しがたい行為だ。『ピアジェ』はデザインの盗用を断じて許さない」と強い姿勢を示した。

 リシュモンは損害賠償請求を検討しているが、裁判所のスケジュールの関係上、進展するのは来年以降になる見込みだという。

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