日本のメンズブランド「ダイエットブッチャースリムスキン(DIET BUTCHER SLIM SKIN以下、ダイエットブッチャー)」は、飲食、コスメ、芸能などの事業を展開するインスタイル(INSTYLE)グループに加入した。これに伴い、同ブランドの運営会社メタルバーガーは社名をブランド名に変更。中目黒と名古屋にある直営店ヴェノム(VENOM)もブランド名に変更し、統一した。さらに、インスタイルの全額出資で青山に新店舗DBSS青山をオープンし、月額8万5500円のレンタルサービスも4月1日に開始する予定だ。“音楽”をルーツに20年以上続いてきた「ダイエットブッチャー」がなぜ、“超高額な”レンタルサービスを開始したのか?インスタイルグループとはどういった企業なのか?深民尚「ダイエットブッチャー」デザイナーと西村豪庸インスタイルCEOの2人にグループ加入の経緯やブランドの今後を聞いた。
WWD:まず、インスタイルグループとはどういった企業か?
西村豪庸インスタイルCEO(以下、西村):インスタイルグループは、コンサルティング中心の企業です。IT、システム開発、美容、芸能、飲食、広告代理店……。あげたらきりがないですが、とにかくいろいろとやっているカオスな企業です(笑)。
WWD:そういった中、「ダイエットブッチャー」をグループ傘下に収めた経緯は?
西村:いろいろな事業を手掛けてはいますが、アパレル部門はまだ未着手でした。そんな時に民さん(深民尚デザイナー)からお話をいただきました。
深民尚「ダイエットブッチャー」デザイナー(以下、深民):もともと共通の知り合いがいて、服、音楽など共通の趣味を持っていることもあり西村さんとはよく食事をしていました。そうして話していく中で、「ダイエットブッチャー」の弱点や、自分たちが持っていないものを持っているなと思い、私からグループ加入の話をしました。
WWD:改めて、深民デザイナーの考える「ダイエットブッチャー」の強み、弱みとは?
深民:音楽の要素がデザインに入っているため、音楽好きな方への影響力は強いのかな、と思っています。実際にミュージシャンの方が商品を買ってくれたり、ライブの衣装に使ってくれたり。でも、とにかくECが弱かった。がむしゃらに服を作って展示会で見せる、という形でした。音楽的に言えば、小箱でのライブはいっぱいできるけど、アリーナクラスでは演奏できないような状態(笑)。さらに飛躍するためにECのシステム開発などもやられている西村さんにお願いしようと思ったんです。
WWD:グループ加入に抵抗はなかった?
深民:特になかったですね。それよりも、もっとクリエイションに集中して「ダイエットブッチャー」の世界観を広げたいという気持ちが大きかったです。会社の社長としてビジネスで頭を悩ませることも多かったので。
西村:民さんはアーティストなんですよ。芸能事務所と取引していて思うのですが、アーティストの方に金勘定ははっきり言って無理。僕がビジネスの面で支えて、民さんがアーティストとして活動できればよりブランドも大きくできると思っています。
WWD:今回のグループ加入に伴い、「ダイエットブッチャー」の社内体制は変わるのか?
深民:社名や中目黒、名古屋の店舗名を変更しましたが、他は大きくは変わらないですね。生産管理、プレス、営業なども以前のままです。
西村:ただ、ECの構築などはうちのグループが担当します。社名や店舗名の変更は、全体的に分かりやすくするためにブランド名と統一しました。
WWD:今回新たに出店したDBSS青山について。青山に出店した理由は?
西村:中目黒で細々とやっても花火にならないじゃないですか。青山の骨董通りでビルの1、2階をぶち抜いた店舗の方がインパクトもあるし、知名度も圧倒的に広まる。
深民:インスタイルグループに加入した時にはそこまで変わった気はしなかったのですが、DBSS青山ができてはっきり「変わったな」と感じています。