「ミュベール(MUVEIL)」でアトリエスタッフとして働く藤本裕美さんの書籍、「普段使いが可愛い小さな布花コサージュ」(産業編集センター)が発売されました。同書ではコットンやリネンなどの天然素材を用いた20種類の花のコサージュの作り方が紹介されています。藤本さんはパリで10年間、「シャネル(CHANEL)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などのアトリエでパタンナーとして経験を積み、クチュールでは細かな刺しゅうなども担当していました。帰国後2017年に「ミュベール」に入り、企画として中山路子デザイナーと一緒にコレクションの制作をしています。ブランドの人気商品である4人組のオシャレなマダムをイメージしたぬいぐるみチャーム “グランマ チャーム(GRADMA CHARM)”のデザインも現在、藤本さんが手掛けています。
東京・表参道にある旗艦店のギャラリーミュベールでは、出版に合わせた作品展「小さな布花コサージュ展」が開催されています。ギャラリーミュベールは、月に数回の刺しゅう教室を開いたり、購入したウエアのボタンの付け替え、刺しゅうなどのカスタマイズに応じたりと、「ミュベール」の世界観を凝縮したハンドクラフト提案が魅力の店舗です。今回、書籍の著者である藤本さんによるコサージュのワークショップへ私も参加してきました。
今回作ったのはミモザのコサージュです。シンプルですが、一つ一つのパーツ作りから始めるため、完成するまで2時間半もかかりました。用意された材料は、刺しゅう糸と針金、葉っぱ用の生地とリボンだけ。まずはお花の部分のポンポンを作るため、刺しゅう糸をグルグルと型紙に巻き付けて針金で中心部を押さえてハサミで形を整えます。この作業、簡単に見えるのですが、見た目以上に難しい。小指の爪より小さなサイズにザクザクカットする時、切りすぎてしまうと取り返しがつかなくなるのではないか…と、度胸がいる作業。初めは、控え目になってしまっていびつなお花になりましたが、数をこなすだけ慣れていき、もっともっと作りたいと欲が出てきます(笑)。ワークショップの参加者は9人で、最初はおしゃべりしながら作業をしていたのですが、気がついたら言葉数も少なって、無心で集中していました。
ちなみにミモザは「ミュベール」の18年プレスプリング・コレクションで多用されていたモチーフ。同コレクションはイタリアの画家ボッティチェッリの有名な絵画「ビーナスの誕生」や「ラ・プリマヴェーラ」から着想を得た華やかな花柄の刺しゅうが施され、イタリア国旗の赤や緑がキーカラーとして取り入れられていました。個人的ツボは“VENUS TANJYO”のロゴが入ったパール付きのTシャツ。昨年「ミュベール」は10周年を迎えたのですが、スポーティーなユニフォーム風のウエアには“39”(サンキュー)と数字を入れて、ユニークなアイデアで感謝を伝えていました。
ちなみにイタリアでは、3月8日は感謝を込めて女性にミモザの花を送る“ミモザの日”だそうです。このイベントはモノ作り、イタリア、ミモザ、10周年、感謝……といろいろとつながっていたのです。
藤本さんによるミモザコサージュのワークショップは2月25日にも開かれるそうです。公式ウェブサイトから予約ができますので、興味がある方はぜひ参加してみてください。作り方は書籍で紹介されているので、ワークショップに参加できない方もぜひご自宅で作ってみてください。