「シャネル(CHANEL)」は若年層をメーンターゲットとしたデジタルコンテンツをファーフェッチ(FARFETCH)と共同で開発するプロジェクトを開始した。
同プロジェクトは3~5年をかけて完成させるという。両社はプロジェクトの詳細を明らかにしなかったが、ブルーノ・パブロフスキー(Bruno
Pavlovsky)=シャネル グローバル ファッション部門プレジデントは「ファッションでeコマースは行わない。ファッションにおいて重要なのは、デジタルをきっかけに、ブティックにお客様を連れてくること。デジタルはあくまで魅了するためのツール」だと1月に断言しており、今回も「顧客が商品を選ぶのを手伝ったり、選んだものをスタッフに伝えたり、顧客が選んだものをスタッフがフィッティングルームに事前に運んだりして、ブティック滞在時のタイムロスをなくすようなアプリケーションができるといいと考えている」と話している。「当社の現在の顧客は、ブティックでパーソナライズ・サービスを受けたいと思っている人たちで、その要望への対応は成功している。課題は、生まれたその日からモバイルに触れている次の世代への対応だ」。
また、パブロフスキー=プレジデントは「未来のブティックの姿を作ろうとしている」と説明する。「戦略の変更ではなく、ブティックが当社の中心事業であり続けるための方策だ。ブティックから最上のサービスを提供し続ける一方で、デジタルが発達している今、デジタルツールを駆使してわれわれのサービスを向上させるための最善の方法を考え始めるタイミングだと考えた」と続けた。
一方でジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)=ファーフェッチ創設者兼CEOは、「当社のミッションはオンラインとオフラインの両方において、ラグジュアリーのショッピング体験を再構築することだ。この点においてはどこよりも力を入れている」と話し、「シューズブランドや小売り業などで働いた経験からも私は実店舗における小売りの力を信じている。ファッションは音楽やメディア、映画とは違ってデジタル化できない。いつだって自分の身体で体験することが基本となる」と強く主張した。
顧客の同意を得た個人情報は「シャネル」からファーフェッチに提供されるが、「シャネル」もファーフェッチも新規顧客の開拓が目的ではなく、あくまでも「シャネル」の未来のためのパートナーシップだとパブロフスキー=プレジデントは強調した。
なお、同プロジェクト開始に際してシャネルはファーフェッチの少数株式を取得している。取得株式数などの詳細については非公表。また、シャネル傘下の3ブランド「バリー ニットウェア(BARRIE KNITWEAR)」「ゴッサンス(GOOSSENS)」「メゾン ミッシェル(MAISON MICHEL)」は今年中にファーフェッチで取り扱いが始まるという。