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エアークローゼット 働き方の軸にある“シェア”の概念

 レンタルサービスのエアークローゼットが21日、新サービスの発表を含む、オフィスお披露目会を実施した。「エアークローゼット」は結婚・出産などのライフステージが変化しても、ファッションとの出合いの場を作りたい、忙しくてもファッションを楽しみたいと考える女性に向けたサービス。利用者の92%が働く女性で、44%は子育てをするママというだけあり、“働き方”が常に同社の大きなテーマとなっている。

 2月に利用を開始した新オフィスも、働き方を軸にデザインされた。担当したのは三井デザインテックの三浦圭太・デザイナーだ。新オフィスは“air Work”をコンセプトに、軽やかさや透明感、交流を重視した設計。エントランスにはブランコの会議スペースを設置した他、執務スペースの床を若干高くしたり、ガラスを多用することで可視性をあげたりと、いたるところに“air”を感じる要素がある。ここで毎日20人ほどのスタイリストと社員合わせて100人以上が仕事をしているという。

情報やアイデアを
シェアできる空間に

 レンタルというシェアリング・サービスを扱うだけあって、働き方の軸にも“シェア”の概念がある。IT業界といえば自由な働き方を採用する企業も多いが、同社オフィスでは座席や会議場所が決まっている。「社内会議には執務室内のオープンスペースの利用を推奨している。あえて同じ場所に集まることで、情報やアイデアをシェアできる空間を目指す」と語る。ただし、自分の感覚に頼る技術職のスタイリストにはデスクを設けず、フリーアドレス制度を設けた。リモートワークで仕事をするスタイリストも多数在籍しており、中にはコペンハーゲンに常駐する人までいる。これは役割に合わせたオフィス設計だという。「仕事における役割分担を明確化する必要がある。それぞれの役割のなかで社員には深度を深めてほしいし、もし自分の代表としての深度が最高でなくなった時には交代をすることも必要だと思う」と持論を述べる。

 三浦デザイナーも、「ファッションは華やかだが、生み出す側もそうあるべきだと思う。よく“働き方改革”という言葉を聞くが、ほとんどが会社目線の“働かせ方改革”になっている。本当は個人がそれぞれの働き方をデザインできるように、会社側がそれをサポートするべき。そういった意味で、エアークローゼットのオフィスに対する考え方はすばらしい」と話す。

 天沼社長と三浦デザイナーの会話で気になったのが、顧客との関係性についてだ。「オフィスが完成したら三浦さんとの仕事も終わりかと思えば、そうではなく、今も定期的にお会いして情報共有をしている。お互いに具体的な収益があるわけではないが、社内外の情報共有をライトにできることでアイデアが他社に生かされていくこともあるだろうし、この情報の流れがエキサイティングだと感じた」と天沼社長。ここにも“シェア”が根付いている。「モノを売って終わりではなく、買ってもらった時点から顧客と会社の接点はずっと続く。さらなる接点を作るための施策が今回発表した『満足保証』で、この考えはRIZAPなどのトレーニング事業とも似ている」。成長著しいシェアリング・エコノミーだが、人と人との接点を作り、持続的なやりとりを生み出すというところに“シェア”の本質があるのだと感じた。

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