ヘア業界の枠を越えて注目を集める人気美容師の内田聡一郎が独立し、自身のヘアサロン「レコ(LECO)」を3月1日にオープンする。現在、業界の第一線で活躍する彼がなぜ独立し、どういったサロンの将来像を見据えているのか――オープンを前に今の素直な思いを聞いた。
WWD:長年、ヘアサロン「ベチカ(vetica)」のトップディレクターとして活躍していたが、いつ頃から独立を考え始めた?
内田聡一郎(以下、内田):約3年ほど前に急な病気で2週間入院したんですが、その時に真剣に自分の将来について考える時間ができて、独立という選択肢もあるなと思い始めました。それまではすごく順調だったし、好きなこともできていたので、正直あまり自分の将来について真剣に考えることもなかったんです。ましてや自分が働けなくなるということは想像していませんでした。そしてその時期くらいから、自分でマネジメントや教育を一からやっていきたいという思いも強くなり、それから漠然と考え始めて、実際に独立を決めたのは1年半ほど前です。
WWD:サロン名の「レコ」の意味は?
内田:実は特に意味がないんですよね(笑)。もともと“サロンの扉を開いて新しい自分を見つける”といったテーマがありました。そこから“扉を開けて空間の中に入っていく”イメージが浮かんで、それをロゴで表現した時にカタカナの「レコ」に見えるので、「レコ」にしました。なのでロゴありきのサロン名です。これからは「レコ」という文字よりも、ロゴで認知してもらえるようにしていきたいです。
WWD:「レコ」のコンセプトは?
内田:美容室的なコンセプトとしては“大人ストリート”。原宿のような若いストリートでも、銀座のような大人カジュアルな感じでもない、少しカルチャーを感じる渋谷の“大人ストリート”なヘアデザインを「レコ」から発信していきたいです。サロンの場所も、渋谷区の中でも青山に近い渋谷区渋谷1丁目にこだわって探しました。いろいろ探して、サロンのコンセプトにぴったりのところが見つかりました。
WWD:内装についてのこだわりは?
内田:内装のコンセプトは“モダンミニマル”。僕自身が近代的な感じが好きで、シンプルにコンクリート、鉄、白壁、蛍光灯のみで構成しています。あとは、前からやってみたかった全面鏡張りのセット面。受付のカウンターはアップルストア(Apple Store)をイメージして、会議もできるくらいの大きな机に必要最小限の物を置いています。サロンの広さは約105平方メートルでセット面は9席、シャンプー台は4台で、うちフルフラットタイプが2台になります。ヘアデザインだけでなく、ヘッドスパやトリートメントなどのケアメニューもしっかりと打ち出していくつもりです。
サロンでのイベントを通してカルチャーを発信していく
WWD:サロンとしてはどういった発信を行っていく?
内田:僕がDJをやっていることもあり、サロン内で音楽をはじめカルチャーを感じられるイベントを開催していく予定です。カット椅子を端によせれば、ある程度の広い空間になるので、そこでDJイベントをやったり、プロジェクターもあるので若手映像作家の上映会をやったりしていきたいです。また、入り口には写真やイラストの作品を飾れるようギャラリーにしているので、そこではシーズンごとに「レコ」注目のさまざまなアーティストに作品を飾ってもらいます。
WWD:オープニングのスタッフは?
内田:僕を含めて7人で、うちスタイリストは3人。ありがたいことに求人に関しては多くの応募があり、その中からスタイリッシュさと熱意がある人を選びました。
WWD:今後の展望は?
内田:まずは「レコ」を盛り上げて、スタッフが活躍できる環境にしていくことですね。そのためにもまずは「人が辞めないサロンにする」こと。シンプルですが、これは僕がサロンを経営する上で一番大切に考えていることです。今は僕が前面に出てサロンの名前を売っていく時期ですが、ゆくゆくは僕よりもスタッフがどんどん活躍してほしいですね。今は僕のインスタグラムでもスタッフを紹介して、多くの人に知ってもらうようにしています。だからこそスタッフは、やらされるのではなく、責任感を持って自分のやりたいことをやっていってほしいです。
■ヘアサロン「レコ(LECO)」
オープン日:3月1日
時間:11:00〜21:00 / 日・祝日 11:00〜19:00
定休日:毎週月曜日
住所:東京都渋谷区渋谷1-5-5 デュラス青山B1階