2018-19年秋冬コレクションが開催中のパリは連日の氷点下で、業界人たちを震え上がらせている。特にセーヌ川沿いはさらに体感温度が下がる。しかし、セーヌ川横にテントを張ってエッフェル塔をバッグにショーを行った「サンローラン(SAINT LAURENT)」には、現在のシグニチャーアイテムであるレザーのホットパンツを素足で着こなすセレブリティーが集合し、フロントローを飾った。
集まったのはシャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)、ケイト・モス(Kate Moss)、ロージー・ハンティントン・ホワイトリー(Rosie Huntington Whiteley)など。カトリーヌ・ドヌーブ(Catherine Deneuve)やジェーン・バーキン(Jane Birkin)はさすがにホットパンツではないが、ムッシュ・サンローランのミューズでありパリのアイコンである彼女たちが欠かさずショーを訪れることは、現在のクリエイティブ・ディレクターであるアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vacarello)に“お墨付き”を与えているに等しく、その存在感は大きい。
2018-19年秋冬コレクションの冒頭もレザーのホットパンツが続いた。今季はイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)が1976年に発表した“ロシアン・コレクション”からインスピレーションを得て、ペザントブラウスやタッセル使いなどロシアの要素を入れている。冒頭は黒一色で、カーフ、レザー、シルク、切りっ放しのデニムなどさまざまな黒いテキスタイルを組み合わせて黒の美しさを引き出した。
今季もウィメンズとメンズの合同ショーで、メンズも“ロシアン・コレクション”から着想を得て金銀刺しゅうのブラウスやライダースを揃えた。刺しゅうはよく見ればバイク柄だ。ルックではわからないが、ニットの下にラフなTシャツを合わせるなど実需につながるアイテムも多い。ソワレは、フェルトやポニースキンなど厚地の素材でヴァカレロ渾身の造形美を披露。フィナーレは、総刺しゅうの花柄ドレス25体で夜のパリに花を咲かせた。