「クロエ(CHLOE)」は、ナターシャ・ラムゼイ・レヴィ(Natacha Ramsay-Levi)による2シーズン目となる2018-19年秋冬コレクションを発表した。ファーストシーズンに続き、メゾンのDNAを守りながら少し“男前”なスパイスを加えて新しい「クロエ」像を打ち出した。1年前まで無名だったナターシャだが、この実力からするとどうやら今後ファッション、特にラグジュアリー・ビジネス界隈で活躍する存在になりそうだ。
今季は一人の女性が持つ多面性を表現したという。テーラリングのコートやジャケットと、ローウエストのスカートやドレスを核に、フェミニンの象徴として代々採用してきた〇(丸)モチーフを多用。スカートやドレスは、歩くと布が揺れて、脇からはランジェリーのようなレースがのぞくなど、根底には女性らしさを置きつつ、ナターシャの「クロエ」はどこか男前だ。今季を象徴するサイケデリックなプリントは、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)がデザイナーを務めていた1973年の「クロエ」のアーカイブから採用したもの。プリントの開襟シャツは大胆に胸元をあけてセクシーだが、男性に媚びる要素はまったくない。
一癖あるアイテムや、ローウエストのプロポーション・バランスなどから、一見すると着こなしは難しそうだが、ツイードのジャケットなど仕事着として活躍しそうなアイテムもそろっている。ファッション・コンシャスな女性からジャケットを必要とするキャリア女性まで、幅広く支持されそうだ。
また、バッグについては前任者クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)が生み出した“ドリュー”などアイコニックなラインを引継ぎ、アップデート。ビジネスの核であり、「クロエ」に大きな利益をもたらしてきたバッグのデザインをがらりと変えないこともナターシャの賢い選択と言えそうだ。
なお、ショーには前職の上司でもある「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)も来場し、元部下の仕事を笑顔で見守っていた。