「中国百貨業サミット2018」が3月27、28日、北京国際飯店で開催される。中国商務部の支援を受け、中国百貨商業協会が主催するもので、百貨店やデベロッパー、テナントなど約300社が出席。「中国百貨店・流通業界の“ダボス会議”」と称されるものだ。27日には17-18年の中国百貨店の状況や市場予測などの報告発表、分科会、17年度中国百貨小売業グランプリ発表、28日には主要企業のCEO討論・交流会、中国国際ファッションウイークに合わせたファッションショーも予定している。
27日午後に行われる分科会は、「サプライチェーンマネジメント」「ショッピングセンターのスモール業態」「未来の商業空間づくり」「MD競争力の再構築」の4つのテーマが設定されている。そのうち、「MD競争力の再構築」を企画・運営するのは、中国系企業で、日本企業の中国進出支援を行うサイトク・トレーディング(東京都千代田区、李遠光・社長)だ。
近年の中国商業不動産市場について、「都市化や再開発、住宅バブルなどが進み、多くの大型商業施設が新規に開発されており、2020年までに1万カ所に到達するとも言われている。また、既存の施設のリニューアルも多く計画されている。商業不動産の急速な発展に対して、店舗のリーシング資源が追い付かないだけでなく、同質化状態にも陥っており、商業施設側、テナント側ともに対応策を打ち始めている。大手商業施設や企業間のM&A(企業の吸収・合併)の増加も予想される」と現状を分析。
日本ブランドに対しては、「中国で事業展開する際には、百貨店や商業施設は運命共同体ともいえるほど重要なパートナーだ。ただし、日本では緊密な企業間での絆を基にパートナーシップが結ばれてきたが、中国では個人の関係を重んじる商習慣が根付いており、トップ同士・幹部同士の人間関係が企業間関係に大きくかかわっているのが現状だ。このような市場環境の中で、ごく一部の企業を除き、多くの日経企業・ブランドは、この大変重要な“トップセールス”業務を、現地代理店などの外部に委託したり、中国人部下に任せたりせざるを得ないのが現状だ」と指摘。
「今後、多くの日本企業・ブランドが中国百貨店や商業施設の上層部と直接対話したり、コミュニケーションをとったりする場を提供し、中国ビジネスの成功を支援していくことがわれわれの使命だ」として、今回の分科会でも、講演・ディスカッションに続き、これから中国に進出する日本ブランドの社長・CEOなどのトップによる日系新ブランドのプレゼンテーション・タイムを設けるという。
大手アパレル出身で中国駐在歴も長い新島利光ディレクターは、「中国では商業施設が乱立する中、テナントをリーシングするだけでなく、自主編集型売り場を開設してオリジナル性を創出しようとする動きも活発化している。新ブランドの開発や海外ブランドとの提携を考える企業も増えている。今はチャンス。コネクションを重要視する市場なので、トップ同士でパイプをつなぐ良い機会として、また、認知度を高めるために活用してもらえれば」と語る。