米「ヴォーグ(VOGUE)」と「ヴァイス(VICE)」は、コラボプロジェクト「プロジェクトVs(Project Vs)」を無期限延期する。このエディトリアル・プロジェクトは2月28日に始動する予定だったが、プロジェクトに携わっていたスタッフが延期を知らされたのはプロジェクト始動日の1週間ほど前だった。
両者は「『ヴォーグ』と『ヴァイス』はともに、読者にさらに革新的で価値のあるコンテンツを届けるためにプロジェクトを進めてきたが、現時点ではこのコラボレーションを延期することを決めた」という共同声明を発表している。
同プロジェクトは2017年10月に発表されたが、この時点でアナ・ウィンター(Anna Wintour)米「ヴォーグ」編集長は、「『ヴォーグ』と『ヴァイス』はそれぞれ全く違う視点を持っているが、どちらも尽きることのない好奇心と活動力を持っている。このコラボレーションでは、2つの編集チームがともに働き、刺激的で価値のあるストーリーを届ける」と語っていた。
ある情報筋は、今回のコラボ延期は17年12月に「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」が「ヴァイス」や「i-D」を運営するヴァイス・メディア(VICE MEDIA)社内のセクハラ問題を詳細にレポートした記事を掲載したこと受け、「ヴァイス」が複数のスポンサーを失ったためとみている。
一方「ヴォーグ」を擁するコンデナスト(CONDE NAST)はセクハラ問題に取り組むために「基本的に全てのモデルは18歳以上であること」などの行動規範を設け、コンデナスト・ジャパン(CONDE NAST JAPAN)も2月1日からこの行動規範を適用・実施している。
2月初旬に「デジデイ(DIGIDAY)」が掲載した記事によれば、「『ヴォーグ』は、過去数カ月間『ヴァイス』の編集チームとともに働き、あらゆる人々を受け入れたその平等な職場環境を尊敬している。『ヴァイス』との仕事は非常を楽観的に見ており、数週間後、共同制作したコンテンツをお披露目することを楽しみにしている」と「ヴォーグ」関係者は述べていた。
しかし、2月後半、米メディア「ボストン・グローブ(The Boston Globe)」がセクハラ告発記事を公開。中には「ヴォーグ」と関係の深いフォトグラファーやスタイリストの名前も実名で挙げられていた。