福田晃一リデルCEO:1979年高知県生まれ。2006年、マーケティングも得意というハイブリッドな芸能事務所ツインプラネットを設立。読者モデルなどエッジーな人材を活用したマーケティングや人気タレントを生み出し多数のトレンドを創出。14年、インフルエンサー・マーケティングのパイオニアとなるリデルを創業 PHOTO BY KAZUO YOSHIDA
最近やたらと聞く“インフルエンサー”は、正直SNSのフォロワーが多い女の子くらいに思っている。だからこそ、そんな女の子にペコペコ頭を下げるマーケティングなんてよく分からないし早くもちょっとウンザリしてきた……。そんなアナタのために、インフルエンサーに特化したマーケティングを実践するリデルの福田晃一・最高経営責任者(CEO)が分かりやすくインフルエンサー・マーケティングを解説します。第4回は個数や文言の決め方など、ハッシュタグの効果的な活用法を学びます。
Q.効果的なハッシュタグはどう決める?
A.メッセージを届けたいインフルエンサーのタグをまねしてみよう
ハッシュタグは検索ツールであると同時に、アカウントのアイデンティティーの一翼も担っています。アドレスの役割も果たす身分証明書のようなものですから、個性を出さなければいけません。だから有能なインフルエンサーになればなるほど、その決め方、付け方には工夫がいっぱい詰まっています。
有能なインフルエンサーは、自分を知っています。例えば、マイクロインフルエンサーが「#ファッション」というハッシュタグで自分のコーディネートを投稿したとしても、「#ファッション」とタグ付けされた投稿は、すでに920万件以上。もっとフォロワーの多いインフルエンサーも同じタグを付けた投稿を繰り返していますから、マイクロインフルエンサーの投稿が人気投稿に上がったり、検索上位に登場する可能性はものすごく低いんです。つまり、「#ファッション」とタグ付けするには、まだまだアカウントのブランド力が足りないということです。一方で「#モテファッション」のタグ付き投稿は現在約2400件ですから、マイクロインフルエンサーの投稿も人気投稿に上がりやすくなります。このように有能なインフルエンサーは、自身のアカウントの影響力を知った上でハッシュタグを選んでいます。
そして意外に知られていませんが、ハッシュタグは一投稿につき最大30個まで付けることができます。5、6個しかタグ付けしていない投稿は、本当にもったいないんです。弊社の調査では、フォロワー数1万の2つのアカウントが同時期に片方はハッシュタグを11個付けて、もう片方はハッシュタグを1個も付けず同じ内容の投稿をしたところ、前者のインプレッション(1つの投稿やストーリーが閲覧された合計回数)は後者の9倍以上になりました。ただタグが30個もある投稿は“これ見よがし”に見られてしまう危険性があるため、11個が理想的な数とも言われています。投稿のキャプションにハッシュタグを入れたくない企業やブランドは、投稿した後コメント欄に入れましょう。これでもちゃんと検索に引っ掛かります。
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自分のコンセプトばかりを押し出すハッシュタグはNG!
ハッシュタグは、ビッグキーワードとスモールキーワードを使い分け、11個以上のハッシュタグはキャプションとコメント欄に分散して付ける。「#Celvoke」がブランド名(1万511件)、「#2018SS」(16万1406件)がシーズン切り替えの告知、「#ResonantAura」(26件) 「#オーラ」 (1万9192件)「#オーラメイク」(288件)がシーズンコンセプトを告知する役割を持つ。※ハッシュタグの件数は3月9日現在 「セルヴォーク」の公式インスタグラム(@celvoke.jp)から
「#セルヴォーク」(5893件)はブランド名、「#モードメイク」(859件)「#celestine」(2万5174件)は国内外のユーザーに向けたブランドテーマ、「#skincare」(2278万2958件)「#cosme」(50万3001件)「#makeup」(1億6283万4557件)「#modemake」(290件)「#madeinjapan」(159万4581件)「#naturalcosmetics」(34万6008件)「#organiccosmetics」(11万9316件)「#instabeauty」(1642万9170件)は海外ユーザーの検索を意識したタグ、「#beauty」(2億2348万787件)は海外ユーザーの「いいね」の獲得が目的。「#美容」(398万5299件)「#ビューティー」(22万2035件)「#メイク」(232万9476件)「#コスメ」(185万9332件)「#オーガニックコスメ」(8万7607件)「#化粧品」(54万1674件)「#SS」(820万5412件)「#ミスト」(2万4246件)は国内ユーザーの検索を意識し、「#こなれメイク」(265件)はブランドコンセプトに準じながらさらにセグメントしたユーザーの検索を目的としている。※ハッシュタグの件数は3月9日現在
さて、こんな基礎知識や現状を踏まえ、いよいよ肝心のハッシュタグの付け方ですが、まずは大前提として、アカウントの世界観に準じたものでなければならないことは、いうまでもありません。海に関する投稿であれば、海が好きな人の共感を誘うハッシュタグであるべきです。都会の街並みばかり投稿しているのに海にまつわるハッシュタグを付けているアカウントは、「いいね」が付きづらいのはもちろん、検索結果に現れてもクリックされず、結果インプレッションやエンゲージメントは上がらないでしょう。クールでモードなブランドであれば、ハッシュタグもクールでモードでなければならないんです。
一方でブランドは検索するユーザーのことを考えず、自分たちのコンセプトばかりを押し出してしまいがちです。例えば、トップスの写真を投稿するとき、「#2018ss」「#tops」「#ootd」「#concept」のようなハッシュタグは、あまり意味がありません。メジャーなタグでは人気投稿に上がらないし、そんなタグで検索するユーザーはほとんどいないからです。誰に向けたものか明確ではないハッシュタグは無意味です。解決策は、そのトップスを着てほしいと思うインフルエンサーのハッシュタグを参考にすることです。インフルエンサーのみならずターゲットとするアカウントのハッシュタグを参考にすれば、彼女たちに向けてメッセージを届けることができます。インスタグラムのことはインフルエンサーが一番よく知っていますから、分かりやすいですよね。
3割メジャー、7割マイナーなハッシュタグの付け方とは?
残念ながら現状、企業やブランドは写真や文章ばかりにこだわっています。けれどインフルエンサーは、投稿ごとにどんなハッシュタグが良いか考えていて、これがとても大変な作業なんです。最初に話した通り、タグは11個かそれ以上。しかも3割をメジャーなタグに、残りの7割をマイナーなタグにすることで、メジャーなハッシュタグを使った検索に引っ掛かるようにしつつ、人気投稿に入ることを狙っています。そして個々のハッシュタグは、考えては検索して世界観が近いか、人気投稿入りを狙えそうか確認し、一つずつ決めていくんです。各投稿で10回以上も、です。僕らはハッシュタグメーカーという職種があっても良いくらいだと思っています(笑)。
インターネットれいめい期は、見栄えの良いホームページの開発が相次ぎましたが、そのうち企業やブランドはSEO対策を考え始め、検索を通じてユーザーやカスタマーを誘導するようになりました。ソーシャルメディアも今後、投稿自体はもちろん、そこに誘導するためのハッシュタグに意識を向ける時代になりそうです。
■インフルエンサー・マーケティングに関する質問大募集!
本連載で今後取り上げてほしいテーマやインフルエンサー・マーケティングに関する質問を大募集します!「優秀なインフルエンサーの特徴は?」「効果的なインスタグラムの活用術を知りたい」「ハッシュタグのつけ方は?」など、福田CEOが分かりやすく解説してくれるはず。下記からお気軽にご質問ください。