韓国スキンケアブランド「イニスフリー(INNISFREE)」が日本に上陸する。3月16日の表参道の路面店オープンを皮切りに、原宿・渋谷エリアへの出店する予定だ。ブランドは以前にも日本で自社ECサイトを開いていたが2014年2月に閉鎖しており、再上陸の形となる。
ブランドを運営するアモーレパシフィクジャパンは、既にコスメブランド「エチュードハウス(ETUDE HOUSE)」や「アイオペ(IOPE)」を日本国内で展開している。「エチュードハウス」は2011年11月に東京・ルミネエスト新宿に1号店をオープンして上陸し、6月にオープン予定の広島パルコ店を含めて24店舗を北海道から福岡まで各地方に出店している。ミレニアル世代がターゲットで、原宿の竹下通りだけで2店を構えるほどの人気ぶりだ。
さらに韓国の本社であるアモーレパシフィック(AMORE PACIFIC)には他にも、ソウル・ファッション・ウイークのメーンスポンサーブランド「ヘラ(HERA)」や日本上陸経験のある「アモーレパシフィック」、「アリタウム(ARITAUM)」などのコスメブランドに加え、「ミジャンセン(MISEEN SCENE)」など韓国で定番のヘアブランドなど28ブランドを抱えている。
これまでも“韓国コスメ”や“Kビューティ”が日本の若年層を含め人気を集めてきたが、ここへきてさらにその人気に拍車がかかる中、新しく日本市場に参入する韓国ブランドは少なくなく、ライバルも多い。既に成功している「エチュードハウス」とはタイプの違う「イニスフリー」を、日本市場でどのように拡大していくのか。また、抱える28ブランドは日本市場に乗り込んでくるのか。「WWD JAPAN.com」が韓国本社の金哲(キム・チョル)アモーレパシフィックシニアバイスプレジデント・イニスフリー グローバルディビジョン代表と、林正浩(イム・ジョンホ)アモーレパシフィックジャパン代表取締役に行ったインタビューでは、同社の展望が見えてきた。
WWD:「エチュードハウス」は既にかなり拡大しているが、「イニスフリー」が日本進出を決めた理由はなにか。
金哲(キム・チョル)アモーレパシフィック本社シニアバイスプレジデント・イニスフリー グローバルディビジョン代表(以下、金哲):弊社アモーレパシフィックはさまざまなブランドを持っているが、その中で他のブランドが先行で日本市場に出た。その中で日本市場についてたくさんのことを学ばせていただきいた。今回のローンチはミレニアル世代のトレンドの変化を感じたため。また、日本、中国、アメリカを化粧品市場の3大マーケットと捉えており、そのすべてに準備をしていた。
WWD: ミレニアル世代で韓国ブームが起きていることは要因となっているか。
金哲:もちろんトレンドの影響もなくはないと思うが、弊社は3〜4年前から日本市場の勉強をしてきて、ある程度メドがたったタイミングだった。必ずしもミレニアル世代の人が韓国のブランドを好きだ、という考えは持っていない。彼女たちが好きなものは何かと考えながら、いくつかのキーワードを発信したいと考えている。
WWD:「イニスフリー」が考えるキーワードとは?
金哲:例えば共通して好まれている“自由”や“コストパフォーマンス”、“芯のあるもの”や“グリーンライフ”といったもの。これに加えて“Kビューティー”もキーワードと捉えて、身近な商品を提供したい。
WWD:「イニスフリー」と「エチュードハウス」はブランドイメージがまったく違う。日本市場にどうアプローチしていくのか。
林正浩(イム・ジョンホ)アモーレパシフィックジャパン代表取締役(以下、林正浩):「エチュードハウス」はメイクアップブランドとして打ち出しているので、製品そのものがトレンドを汲むようなものが多い。面白みを持って買い物してもらえるようにしている。「イニスフリー」はスキンケアブランドで、コストパフォーマンスの要素もあるが原料にこだわることで効果・効能を自信を持って紹介できる商品に作っている。どちらも単なるコストパフォーマンスということに頼りすぎず、さまざまな開発をしている。