ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)の17年12月期は、売上高が前期比10.4%増の5億357万ユーロ(約654億円)、純利益が同41.3%増の5248万ユーロ(約68億円)の増収増益となった。パテントボックス税制による優遇を除いた実質的な純利益は、前期比13.4%増の4200万ユーロ(約54億円)だった。好調を受けて、創業者であるブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「これからも家族経営を維持したい。経営や管理は必ずしも家族で行う必要はないが、ブランドが築いてきた資産は家族で受け継ぐべきだ」と話した。
同社は販路ミックス策が奏功し、小売りビジネスが伸びている。既存店売上高は、前期比4.4%増だった。売り上げ全体に占める小売り販路の売上高の比率は前期から4ポイント上昇し、53.7%となった。国内外ともにビジネスが好調なことから、創業40周年を迎える2018年も、売上高、利益ともに2ケタの伸びが期待できるという。
同社は理念として“人間主義的資本主義”を掲げ、利益を出しつつも、地球環境にやさしく、生産者の尊厳を守ることを目指している。自社ECサイトにおいても、無機質なコミュニケーションで顧客が不快に思うことがないように、商品に手書きのメッセージを添えるなどの“人間主義”を貫いていることで知られる。EC売り上げはさらなる伸長が期待できるといい、そのためにシステムへの投資を行っている。17年度のデジタルを中心としたコミュニケーション分野への投資額は2870万ユーロ(約37億円)で、16年度から400万ユーロ(約5億円)上昇した。
また、クチネリ会長兼CEOはECで手を組む「ミスターポーター(MR PORTER)」「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」「マイテレサ(MYTHERESA.COM)」について称賛する一方で、「ファーフェッチ(FARFETCH)」は「よりマーケットプレイス的」と疑問を示した。
年間で3~5店の新規出店を計画しており、18年はドバイ、ラスベガス、北京に出店するほか、モナコの店舗を移転する。