「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」は、プーチ(PUIG)と化粧品の製造および、開発、販売に関する長期ライセンス契約を締結した。同ブランドはこれを機に流通チャネルを開拓し、幅広い購買層を狙う。アレクシス・ムーロ(Alexis Mourot)=チーフ・オペレーティング・オフィサー(COO)兼ジェネラルマネジャー(GM)は、「当社同様、プーチもバルセロナで3代続くファミリー経営。共通点も多く、ビジョンが一致した。中国・南米・欧州で参入していない地域も多く、プーチのグローバルな流通チャネルでビューティ事業をステップアップしたい」と意気込む。
プーチは「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「ペンハリガン(PENHALIGON’S)」などを傘下に収める他、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」などのファッションブランドやセレブリティーとのライセンス契約で数多くの香水を手掛ける一大フレグランス・カンパニー。16年9月には、ブラジルの老舗化粧品ブランド「グラナド(GRANADO)」の少数株式を取得している。
「クリスチャン ルブタン」は2013年、ニューヨーク拠点のバタルア ビューティ(BATALLURE BEAUTY)との間に合弁会社クリスチャン ルブタン ボーテ(CHRISTIAN LOUBOUTIN BEAUTE)を設立し、14年にアイコンシューズをモチーフにしたボトルのネイルカラー(50ドル、約6500円)をローンチして話題を呼んだ。現在、世界21カ国、パリの路面店含む133店舗で販売している。ムーロCOO兼GMは、「バタルア ビューティとタッグを組んで、最初のステップであるブランドイメージの構築に成功した。次はグローバルな市場開拓が課題」という。16年には高発色リップ「ルビラック リップ ラッカー(Loubilaque Lip Lacquer)」と3種類の香水をリリース。17年は4つ目のカテゴリーとなるアイメイク中心のメイクアップコレクションを発売するも、取り扱いは世界約40店舗と小規模だった。
ドイツ銀行のエバ・キロガ(Eva Quiroga)=アナリストは、「メイクアップを作り、販売することは費用がかかる。市場をグローバルに最大限広げることが重要。ラグジュアリーブランドとしてビューティ業界で生き残るには、香水分野に本気で取り組む必要がある。香水ビジネスに長け、幅広い流通チャネルを持つプーチと今タッグを組むことは合理的な選択」と説く。
プーチにとっても、同社の事業がそれほど浸透していないともいわれる米国で大きな存在感を放ち、メイクアップのノウハウを持つ「クリスチャン ルブタン」とパートナーになるメリットは大きい。同社の16年の売上高は前年比9%増の17億9000万ユーロ(約2327億円)。17年は20億ユーロ(約2600億円)達成のゴールを掲げ、さらなる企業成長を狙う。
なお、これにより「クリスチャン ルブタン」は、バタルア ビューティとの合弁契約を終了した。しかし、既存商品は継続するという。