大手EC企業ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP以下、YNAP)が運営するECサイト「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」は、ジュエリーに焦点を当てたキュレーションページ“ジュエリー ハブ(JEWELRY HUB)”を立ち上げる。
YNAPの株式の49%をコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)が所有しており、1月には追加の株式取得を目指すことを発表している。このような資本関係からもYNAPがハードラグジュアリー事業へのさらなる進出を狙っていることが分かる。「ネッタポルテ」のハードラグジュアリーへの注力はYNAPが2016年に発表した5ヵ年計画の一部で、20年までに4倍以上の成長を目指しているという。
“ジュエリー ハブ”立ち上げについて、「リアル店舗にもあるような、ジュエリーのセレクトショップを作りたかった」とエリザベス・フォン・デル・ゴルツ(Elizabeth von der Goltz)=ネッタポルテ バイイング・ディレクターは説明する。「ジュエリーの取り扱いを開始した11年はトレンドのアイテム中心だったが、直近2年はジュエリービジネスに注力し、ラグジュアリー・ウオッチ・ブランドの取り扱いを進めてきた。この分野で競合はいない。顧客はわれわれがそろえる高額商品を信頼しているし、ファッションと絡めた提案方法についても気に入ってくれている」。「ネッタポルテ」では現在、リシュモン傘下の「カルティエ(CARTIER)」「ピアジェ(PIAGET)」の他、「ポメラート(POMELLATO)」「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ブチェラッティ(BUCCELLATI)」などを取り扱っている。
また、「ネッタポルテ」は委託販売ではなく買い付けによっていることも競合との差別化を図る要素だ。フォン・デル・ゴルツ=バイイング・ディレクターは「ラグジュアリー・ウオッチは委託販売でなければ真の意味でオンラインとは言えないが、自分たちでアイテムを選び、キュレーションしていきたいからだ」という。
“ジュエリー ハブ”は画像や動画、関連情報や内容やスタイリングアドバイスを提供することで商品の新しい見せ方を追求すると同時に、コンテンツを通じて顧客を“教育”する目的もあるという。
一方で、「ネッタポルテ」の売り上げの40%を占める最重要顧客に対しては一点モノの提供も行うという。「“ジュエリー ハブ”を立ち上げることで、当社が真剣にラグジュアリービジネスに参入しようとしていることを見せたいし、探している物がここで見つかるということを証明したい」とフォン・デル・ゴルツ=バイイング・ディレクターは続けた。
18年後半には最重要顧客を対象に、“ジュエリー ハブ”で見つけたアイテムを購入前に実際に確認することができるサービスも提供するという。フォン・デル・ゴルツ=バイイング・ディレクターは、「競合他社との差は、顧客の元に出向き、試着するまで待つという点だ。高価な商品の場合、実際に触ってみるという行為が依然として必要不可欠。同じようにラグジュアリーピースを販売するオンライン業者はたくさんいるが、当社は完璧なコンディションの商品を届け、返品や修理、付属品の提案を含むあらゆるサービスを提供していく」と締めくくった。