アディダス(ADIDAS)の2017年12月期は、売上高が前期比14.7%増の212億1800万ユーロ(約2兆7795億円)、純利益は同7.8%増の11億ユーロ(約1441億円)の増収増益だ。18年は売上高の伸びは鈍化すると見ているが、ハード、ソフト両面への設備投資と、女性向け商品の強化によって、利益率は引き続き上昇すると見込んでいる。
売上高は現地通貨ベースでは同16%増だったが、目標値17~19%には届かなかった。営業利益率は、1.2ポイント改善して9.7%となった。好業績と、決算発表前日に「21年までに30億ユーロ(約3930億円)まで自社株を買い戻す」と公表したことで、株価は14日の終値で11.2%上昇し、187.9ユーロ(約2万4614円)になった。30億ユーロ(約3930億円)は同社の時価総額の約8%に相当する。
特に、EC売上高が同57%増と大きく伸び、15億5000万ユーロ(約2030億円)となった。これは、全売上高の約7%を占める。スマートフォン向けアプリを開発したことが売り上げ増につながった。同アプリのダウンロード数は、既に100万を超えているという。
18年度の売上高は、現地通貨ベースで同10%増を見込む。ローステッドCEOによると、17年のスニーカー販売数は4億足で、16年から4000万足増えた。引き続き、供給が需要に追いつかない状況だ。「物流倉庫はオーダーをさばくのに苦労している。その改善のために、ハード、ソフトの両面で設備投資を行った。将来に向けても設備投資には注力する」とカスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)は語る。
売り上げの約4割を占めるアパレル事業では、競合他社の後塵を拝している。しかし、トレンドのカジュアル化を背景に、アパレル事業の伸びしろは大きいと見込む。特に、「女性向け商品は市場で伸びているが、わが社はトレンドを加味した商品を十分供給できているとは言い難い」として、女性向け商品を強化する。また、特に北米では“アスレジャー”トレンドが売り上げに貢献しており、同地域の17年度の売上高は現地通貨ベースで同27%増だった。
「ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)やカニエ・ウェスト(Kanye West)といったセレブリティーの存在も、われわれの売り上げを押し上げている」とローステッドCEOは語る。同社は20年までに、北米で売上高50億ユーロ(約6550億円)規模を目指している。とはいえ、ナイキ(NIKE)の17年の北米売り上げ約150億ドル(約1兆5900億円)に比べると、まだまだわずかな額とも言える。
苦戦している「リーボック(REEBOK)」は、黒字化に向けて39店舗を閉鎖したことで、売り上げは15%減少した。「『リーボック』の止血は終わった。ヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)との協業も決まり、さらなる前進が期待できる」とローステッドCEOは自信を見せる。
「これまで、わが社は売上高を伸ばすことばかりに注力しているとさんざん批判されてきた」ことから、ローステッドCEOは利益重視の考え方を明かし、「市場シェア拡大と利益の確保、その両方のバランスを取っていきたい」と語った。