2018-19年秋冬シーズンの「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」でオープニングを飾ったのは韓国ブランド「フライノック(FREIKNOCK)」だった。デザイナーのユジュ(Joohyung You)はドイツ4部サッカーリーグの「ボナーSC(Bonner SC)」の元選手という異色の経歴の持ち主だ。30歳のユジュは4年前にブランドを立ち上げ、アイテムは韓国のセレクトショップのエーランド(ALAND)やアラウンド ザ コーナー(AROUND THE CORNER)などに卸しているが、ファッションショーは今回が初めてだ。
今回のショーのテーマは“犯罪者とその罪”で、「ルックを見てもらえれば“罪状”が分かる」と説明した。アイテムにはお金絡みの犯罪を連想させる米ドル札のような柄のスカートやショルダーバッグのアイテム、ラフなタッチで警察官が描かれたニット、“CHANGE HANDS”と背中にプリントした闇取引を匂わせるジャケットも。忍ばせたシルバーのウオッチが浮かび上がるバッグは窃盗犯を指しているのだろうか。さらに鍵の束を握り、逃亡するかのような大胆な犯罪者までいた。インビテーションも逮捕写真で犯罪者が手にするマグショットボードのようなデザインで、来場者まで犯罪者の仲間となった。
ラストルックを飾ったのは韓国男性音楽グループ、超新星のゴニルだ。ゴニルはユジュと7歳からの幼馴染であり、共にブランドを立ち上げたビジネスパートナー。現在はゼネラルマネジャーとしてブランドを支えており、バックステージでは指示出しなども行っていた。ランウエイモデルも務めたゴニルはラストルックで登場。黒地に“WANTED”とプリントされたトレーナーで指名手配犯になるほどの大罪を予感させ、さらに緑と赤のペイントが散らされたパンツにはハングルで“有罪”の判決文がペイントされた。その他にも会場には超新星メンバーのジヒョク、グァンスやT-ARAのヒョミン、 Block BのP.Oなど韓国スターが来場し、そのスターたちを一目見ようと、ショー終了後にファンでごった返す光景も見られた。
韓国のブランドだが、モデルに起用した韓国人は3人のみ。ファッションでは“ユニセックス”“ストリート”といった韓国のファッショントレンドを表しながらも、ヘアメイクは限りなくシンプルで韓国色は控えめだ。
韓国でも同日からソウル・ファッション・ウイークが幕を開けたが、東京を発表の場に選んだことについてユジュは「韓国のファッションは一部を除いてとてもシンプルだと思っていて、僕は個性的な日本のファッションが昔から好きだった。『アンダーカバー(UNDER COVER)』の高橋盾デザイナーにはとても影響を受けている。まず5大コレクションの1つである東京で認められたいと思った」と語った。韓国から日本へ、そして今後はヨーロッパなど世界も視野に展開を続けるという。