ロレアル(L’OREAL)はAR(拡張現実)とAI(人工知能)を使用した事業を展開するモディフェイス(MODIFACE)を買収した。買収金額などの詳細は非公開。ロレアルはハッカソンを主催したり、インキュベーターに投資するなど、過去にもデジタルに注力してきたが、テクノロジー系企業の買収は初めてだ。モディフェイスは本社をカナダ・トロントに残しつつ、ロレアルのデジタル事業に参加する。
ロレアルは2月、モディフェイスと共同開発したAR技術を生かしたヘアカラーのシミュレーションアプリ「スタイル マイ ヘアー」をローンチしたばかりだ。モディフェイスはパルハム・アーラビ(Parham Aarabi)が2006年にスタートし、バーチャルで試せるメイクアップや肌診断といったサービスを数多くのビューティブランドに提供してきた。モディフェイスの技術は、複数のプラットホームをまたいでの使用が可能だ。
ルボミラ・ロシェ(Lubomira Rochet)=ロレアル チーフ・デジタル・オフィサーは「今回の買収は、当社のデジタル化計画の一環だ。テクノロジーは消費者にイノベーションをもたらしており、美容業界を大きな変革を起こしている。どうしてもインハウスで研究開発できる環境を作りたかった」とコメントした。アーラビ=モディフェイス創業者は「ARは美容業界にピッタリな技術。購入する前にバーチャルに顔の上でメイクを試せるのは有益だ。ロレアルの傘下に入り、われわれの技術をかつてない規模の消費者に届けることが可能になる」とコメント。
ビューティ業界では他にも資生堂が肌色に合わせたファンデーションを調合する技術を手掛けるマッチコー(MATCH)やAI企業のギアラン(GIARAN)、コティ(COTY)がソーシャルコンテンツ事務所のビームリー(BEAMLY)を買収している。