安原瑠美が2018-19年秋冬シーズンから、自身のブランド「ラムシェ(RUMCHE)」をスタートする。運営は、安原が長年付き合いがあるという中国の縫製企業、南通新天倫が設立した日本法人、S&Yインターナショナルが行うもので、「ラムシェ」は同社第1弾ブランドになる。
安原デザイナー兼ブランドディレクターはこれまで旧姓の近瑠美の名前で活動してきた。マークスタイラーの「ダズリン(DAZZLIN)」ではクリエイティブ・ディレクターとしてブランドを成長させた後、15年1月に退社。その後はフリーランスとして、バーンデストローズジャパンリミテッドが運営する「レディアゼル(REDYAZEL)」のリブランディング以来、デザインを手掛けている。現在34歳で、9カ月の娘を持つママになり、自分が小さい頃に着ていた服や母となった今の自分が着る服について祖母や母と話す機会が増え、3世代で楽しめて“一生永く着られる、デイリーなデザイン服”を作りたいと新たな思いを込めた。ブランド名は、名前の瑠美と好きな食べ物のチーズを掛け合わせ、フレンチ風にした造語。
メード・イン・ジャパンにこだわる商品は今シーズン、愛知県・尾州で作ったオリジナルテキスタイルを約8割のアイテムに採用。コーデュロイにチェック柄をプリントしたワンピースやコクーンシルエットのピーコート(各6万9000円)、後染めしたタータンチェックのドレス(5万9000円)などがそろう。
キーアイテムとするのは、これまで得意としてきたスカートではなくパンツ。特徴はサイドからセンターに絶妙に切り替えて形成した、丸みを帯びたシルエットだ。ブラウスやジャケット、セーターと合わせ、レトロでフェミニンに仕上げる。商品の価格帯はコート6万〜10万円、ジャケットとブルゾン4万〜8万円、ワンピース3万〜7万円、スカートとパンツ2万5000〜5万円、ブラウス2万5000〜4万5000円、ニット2万〜4万5000円、カットソー1万〜3万5000円。
生地から一点一点こだわったアイテムは、安原自身が自宅で1アイテムのスタイリングを複数考えたり、30〜70代の友人や家族に試着してもらいサイズ感を調整するなど、商品力だけでなく、幅広い層が着こなせる提案を考える。「これまでのテイストとは違う、自分の年代から上の新たな世代に向けた。自分自身、赤ん坊を抱っこして尾州の機屋に行き、70歳の職人さんとテキスタイルの話をしたりして、服を作っていくことが本当に好き。有名なファッションの専門学校を出ていなくても、ファッションに対する思いがあればそれを形にすることができると実感している」と話した。また、将来的にはコレクションピースも作りたいと意気込む。