デザイナーとして活動するマリエが、東京ミッドタウン日比谷内にある、バルニバーニが運営するレストラン「ドローイング ハウス・オブ・ヒビヤ(DRAWING HOUSE OF HIBIYA)」のユニホームをプロデュースした。これまで、エステサロンなどのユニホームのデザインを担当してきたが、飲食店のユニホームを手掛けるのは初となる。“体感するニッポンのテロワール(土壌)”をテーマに、全国から厳選した食材を使った料理を提供する同店のユニホームに込めた思いやこだわり、今後のビジョンについて聞いた。
WWD:飲食店のユニホームを手掛けようと思ったきっかけは?
マリエ:“おいしいものをより楽しく、より健康に、より安く”をコンセプトに、安全な“食”と心豊かな時間を提供する飲食店を運営するバルニバーニとは10年前に出合いました。私たちのブランド「パスカル マリエ デマレ(PASCAL MARIE DESMARAIS)」は、よりサステイナブルで、リベラルなファッションと世界の新しい関係を、ブランドプロダクションを通して表現しています。バルニバーニは私たちが目指す“一歩先を行く”意識の空間作りやプロダクションを提供しており、今回、「心地よい空間で、大切な人と食事を楽しむ時間」を提供する新店に携わることができ、光栄です。
WWD:ユニホームのデザインコンセプトは?
マリエ:コンセプトは2つあり、1つは“チームワーク”。バルニバーニは全国で多くの飲食店を展開していますが、どこのお店もチームワークが素晴らしく、味はもちろんのこと“スタッフ”に会いに行きたくなる居心地のいい空気が流れています。そこで、生地一反に店の空間の設計図を基にしたアートグラフィックをプリントし、パズルのようにパターンを引きました。パズルは1つでも欠けたら完成しないという意味を込めています。チーム一人一人の結合の大切さを感じてもらえるよう、全てデザインが異なるエプロンを作りました。グラフィックには遊び心を加えてあるので、お客さまとのコミュニケーションツールとしても活用してほしいです。もう1つは“育つ空間と育てる空間”です。これから、より永く美しい時間をこの場所で育むためのサステイナブルな取り組みとして、お店で提供する食材の野菜の皮や淹れたコーヒーの殻でシャツを染めるなど、お店と一緒に育てられるような、循環できるユニホームを作っていきます。開店に際しては、春のオープンを祝してシェフコートとホールシャツを本物の桜で染めましたが、光の加減で淡い桜色を楽しめるように工夫しています。染めの分子のレベルからスタッフ一人一人が存在することの重要性まで、ファッションから食空間にアプローチしていきます。
WWD:サステイナブルにこだわる理由は?
マリエ:今、モノ作りが均質化してきているように感じています。今回のような取り組みを通じて、定番化しがちのプラットフォームを変えていきたい。そして、とにかく廃材がもったいない!という気持ちが大きいです(笑)。私たちにとっては宝物に見える。“How to use”が必要で、さまざまな選択肢やブランドの在り方、個々の接点として重要視しています。
WWD:これからのビジョンについて。
マリエ:「パスカル マリエ デマレ」では、食と衣服との関係を大切なテーマとして位置付けていたので、今回の飲食店のユニホーム製作は大きなステップとなりました。今後もこういった“最善線”で、ファッションからアプローチする取り組みをしていきたいです。
WWD:今後挑戦してみたいことは?
マリエ:応援してくれているファンの方たちのためにも正しい情報を伝え、心地よい暮らしを提案していきたいと思っています。大きな野望ですが、学校の制服も作ってみたい。未来の女の子のために、お腹が冷えないような機能性をもたせた、体を守る制服を実現したいですね。そして生活の中で身近に感じられるアイテムを展開していきたいです。4月は「ニューエラ(NEW ERA)」とのコラボレーションやブランドの公式サイトのリニューアルなどが控えているので、一人でも多くの方に楽しんでいただけたらうれしいです。