韓国ブランドのECでもっとも売れていると言われるファッションブランドを知っているだろうか。それは日本ではまだ実店舗展開のないN-LINEが展開する「ナンニング(NANING9)」というブランドだ。個人ブランドとしてスタートし、年商100億円を超えるまでに成長した「ナンニング」とは一体どんなブランドなのか。ソウル・カロスキルにあるN-LINEのセレクトショップ、ネプホテル(NEUF HOTEL)でイ・ジョンミンN-LINE社長に話を聞いた。
WWD:まず、創業の経緯について教えてください。
イ・ジョンミンN-LINE社長(以下、イ社長):1997年に夫と2人で城南(ソンナム)という街の地下歩道でお店を始めました。その後、地下歩道の全面リニューアルにともなってお店が一時休業になったため、2006年にECサイトを始めました。
WWD:韓国ではネット発のブランドが多いですが、実店舗を先に出したのですね。
イ社長:自分がデジタルにそこまで詳しくなかったこともありますが、当時は韓国でもまだネットがそれほど盛んではありませんでした。ECサイトを始めた時も30万円でまずパソコンとカメラを購入して、家の前に家賃2万円の小さな事務所を借りて、自分で洋服の撮影をして販売していたんです(笑)。当時通ECを手伝ってくれていた知り合いにモデルをやってもらったら、その子の雰囲気がとても合っていて、今もモデルをやってくれています。
WWD:ブランドの世界観に合ったモデルというのは韓国ブランドの特徴でもありますよね。
イ社長:実は当初日本のスタイルに憧れていたのですが、イメージに合うモデルがいなくって。撮影を隣で手伝ってくれていた彼女にカメラを向けてみたら、まさにぴったりだったんです。でも素人だから恥ずかしがって、カメラに目線を向けられなくて。それで、サングラスをして撮影をするようになったんですが、今ではサングラスをつけたモデルというのが、韓国ブランドのECで使う写真の一つのスタイルになってしまいました(笑)。
WWD:現在、ブランドに関わる人は何人くらいですか。
イ社長:店舗を除く本社だけで230人くらいです。
WWD:現在の店舗数は?
イ社長:百貨店などのテナント、アウトレットも合わせて韓国で41店舗、中国には75店舗あります。
WWD:商品カテゴリーは幅広いのですか?
イ社長:ほとんどがアパレルですね。ここ(ネプホテル)はライフスタイル全般を扱うセレクトショップですが、こういった業態はまだ4店舗しかありません。
WWD:現在の売上高は?
イ社長:2017年度で年商110億円です。毎年30%増で成長を続けています。
WWD:ネットと実店舗の売り上げの比率は?
イ社長:現在はネットが6割ですが、今年下半期にはその割合が5割になりそうです。ネットの成長が止まったわけではなくて、実店舗の反応が良く、新規出店をしているためですね。
WWD:ネットと実店舗、それぞれのいいところはなんだと思いますか。
イ社長:それぞれの良いところというよりかは、オンラインとオフラインをつなぐO2O(オンライン・トゥ・オフライン)のニーズが高いですね。われわれはネットのおかげで一気に有名になりましたが、実物を見たいという顧客も多く、逆に店頭では展開していない型も多いので、ネットで見てお店で試着して、色違いをネットで買う、といった買い方も多いようです。
WWD:O2Oの成功がブランド成長の秘けつですね。
イ社長:リアルでは商品の展開数に限りがありますからね。ネットでは韓国ブランドでナンバーワンの売り上げだと自負していますが、それだけではなく、百貨店などに出店をした際には顧客が殺到したりして。リアルの可能性も高いと感じました。
WWD:今後の成長戦略は?
イ社長:すごく、難しいですね(笑)。やはり、海外マーケットでしょうか。2014年からリアルコマースでの販売をしていますが、本格的な日本での展開を検討しています。また、現在の店舗もまだまだ世界観を作り上げている途中なので、さらなる進化を続けたいと思います。