阪急阪神百貨店は、2021年秋の全面開業を目指して建て替え工事を進める阪神梅田本店(大阪・北区)で先行オープンする第Ⅰ期棟の概要を発表した。オープン日は6月1日。地下1階から地上9階の計10フロア・売り場面積約2万7000平方メートルで、食を中心に日常使いに応える品ぞろえで構成する。売上高の48%を食品が占める見通し。隣接地でファッションを中心にした非日常の消費を掲げる阪急うめだ本店と差別化する。初年度売上高420億円を計画する。
第Ⅰ期棟では強みである食をさらに強化するため2フロアで展開する。阪急うめだ本店が贈答用のスイーツなどを売りにするのに対し、阪神梅田本店は日常的な総菜やB級グルメなどに厚みを持たせる。
地下1階には一時閉鎖していた立ち食いのフードコート「スナックパーク」を復活。名物のイカ焼きなどに加え、500円のワンコインランチや夜の気軽な一杯まで、財布にやさしい庶民的なメニューを充実させた。その他、働く女性の時短ニーズに応える惣菜売り場、普段のおやつを提案する和洋菓子売り場、高級鮮魚コーナーなどを設ける。1階には関西の人気ベーカリー30店から仕入れる「パンマルシェ」、毎日400種類のワインを試飲できる日本最大級のワイン売り場「リカーマルシェ」、関西初出店のハンバーガーレストラン「シェイクシャック(SHAKE SHACK)」が入る。
通常、百貨店の売上高に占める食品の割合は30%程度だが、阪神梅田本店はすでに45%に達しており、とびぬけて高い。取締役常務執行役員の小森栄司・阪神百貨店本店長は、いずれは50%に高めたいという。「ファッションよりも食や健康の充足を優先する、そんなお客さまの生活価値の変化に対応する。日本一のデパ地下を持つ阪神だからこそ、日常ではあるが、スペシャルな食を提案したい」。
ファッションでは既存の中心顧客である50~60代女性だけでなく、30代の働く女性のリアルなニーズに応えるMDを展開する。阪急うめだ本店は圧倒的なブランド集積で集客しているが、阪神梅田本店はニット、パンツ、レッグウエア、シューズなどのアイテム集積型の売り場を増やす。「日常的にヘビーユースで使えるコストパフォーマンスに優れたアイテムをそろえる」(小森本店長)ことで、ブランド単位の売り場では満足しない女性の需要を掘り起こす。
阪神梅田本店は建物を2つに分けて、東側を第Ⅰ期棟、西側を第Ⅱ期棟として2段階で工事を進めている。14年から東側の建て替えに着手し、西側だけで縮小営業を続けてきた。第Ⅰ期棟のオープン後は西側の建て替え工事が始まる。総投資額は530億円。工事前の13年度は売り場面積5万3000平方メートルで売上高820億円だった。21年秋の全面開業時にはほぼ同程度の面積になる見通しだ。