4月9日の決算会見によると、オンワードホールディングス(以下、オンワードHD)の2018年2月期のEC売上高は、前期比37%増の203億円を達成した。特に自社ECの「オンワード・クローゼット(ONWARD CROSSET)」が好調で、自社EC比率はグループ全体で75%、オンワード樫山で85%をマーク。他社ECモールに依存しない独自のEC強化策が奏功した。来期は300億円を目指す。
具体的なEC強化策は、EC上での受注販売の開始をはじめ、EC限定商品の拡充によるプロパー売り上げの底上げだ。オンラインでのセールを強化し、店舗の催事販売からECに切り替えたことで在庫処分を効率化させた。また、3月までに実店舗の在庫一元化を実行し、8月にはEC在庫の一元化を実現する予定で、今後も商品の機会ロスを減少させていく。
保元道宣オンワードHD社長は「自社ECで得たビッグデータを蓄積し、商品と販促の独自性を追求したい。現在予約商品が好調だが、このECで得たデータをもとに実店舗で効果的なキャンペーンを打ち出して、どのような商品をどのタイミングでお届けするか、きめ細かにセールスプロモーションを行っていく。また、未来予測についてはAI関連の企業とコミュニケーションを進めているところ。将来的にこのビッグデータをマーケティングにつなげていきたい」と語った。
またオンワード樫山は今秋、16年春夏に休止した「フィールド / ドリーム(FIELD / DREAM)」をSC向けの新ブランドとして再始動する。今年11月からイオンモールなどのSCを中心に10~15店舗出店し、来年は約20店規模にする予定。単店で年間の売上高は7000万~2億円を想定し、今年度は売上高7億~10億円、20年度は15億~20億円、将来的に約30億円に成長させる。約165~約330平方メートルの店舗に、シャツやパンツ、ジャケットなどそれぞれのアイテムごとの単品集積にする構想だ。店舗によっては同社のオーダーメードスーツブランド「カシヤマ ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA THE SMART TAILOR)」のコーナーを設ける他、店頭にタブレットを置きECへも送客する。詳細は5月中旬の展示会で明らかになる。
大澤道雄オンワード樫山社長は「『フィールド / ドリーム』は30代前後のファミリーに向けたカジュアルウエア。既存の『エニィスィス(ANY SIS)』『エニィファム(ANY FAM)』のようなイメージだ。まずはSCに出店していくが、百貨店で展開したいという話が出れば、出店を検討する」と説明する。