モデルの労働環境改善などを目指すNPO、モデル・アライアンス(MODEL ALLIANCE)のサラ・ジフ(Sara Ziff)=エグゼクティブ・ディレクターは、4月12日に公開された「ヌメロ マガジン(Numero Magazine)」のインタビュー記事でカール・ラガーフェルド(Karl Largerfeld)が述べた発言を批判する声明を発表した。
事の発端となったラガーフェルドの発言は、「パンツを脱がされたくないならモデルになるな、修道女になれ!そこなら居場所があるはず」というもので、米メディア「ボストン・グローブ(The Boston Globe)」のセクハラ告発記事で名前が挙がっていたトップスタイリストのカール・テンプラー(Karl Templer)を擁護する意図があった。テンプラーは「ボストン・グローブ」の記事内で「服を脱いでいる時にテンプラーが後ろから近づき、膝をついて下着を引っ張り、私がまだショーツをつかんでいたのにあっという間にショーツを下ろした。同意も得ずに私を裸にしようと服を脱がせた」と匿名の女性モデルから告発されているが、本人は公開書簡で否定した。
ジフはこのラガーフェルドの発言を「恥ずべき発言。(歯に衣着せぬ発言と女性の外見や体重を嘲笑・批判することで知られている)カール・ラガーフェルドだから驚くべき発言ではないが、許しがたい。ラガーフェルドに虐待を受けたという事実があれば明るみに出すべきであり、彼に“バカ”“有害”“強欲な生き物”というレッテルを貼られたり、扱いに抵抗して職を失わざるをえなかったモデルがいたらアクションを起こすべきだ」と論じた。
さらにファッション業界全体のセクハラ問題に触れ、「業界はこれまで暗黙の了解でこのような発言を容認してきたが、彼のような態度は葬られる時代になったことは明らか。ファッション業界は創造性と自己表現を開花させて、誰もが尊厳をもって扱われる場所でなければならない。時代は変化している。その変化ともに、ファッション業界のモラルと説明責任も変わらなければならない」と主張した。
ラガーフェルドの発言はSNSにも飛び火し、クリッシー・テイゲン(Chrissy Teigen)は「彼は『#MeToo』運動に飽き飽きしてるようね」と問題の発言のスクリーンショットとともに約1000万のフォロワーに向けてツイートし、ラガーフェルドを批判した。また、女優のローズ・マッゴーワン(Rose McGowan)は自分と修道女のツーショットをインスタグラムに投稿し、「カール・ラガーフェルドが『#MeToo』に冷や水を浴びせたわ。彼の発言を読んで最悪な気分になった。でも今日シスターに会って、少しは気分がましになった。彼女はあなたを許すでしょうけど、私は許さないし、意地汚くて心の汚れた小さい人間だと思う。あなたは女性の不安をネタに、たくさん稼いできた。そろそろ女性嫌悪の時代の終わりとともに去る時ね。『#BoycottChanel』」と批判して、ボイコットを呼びかけた。