「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS以下、VC & A)」は、女性が憧れるジュエラーの代表的存在です。“アルハンブラ(ALHAMBRA)”でおなじみですが、世紀の歌姫と言われたマリア・カラス(Maria Callas)やグレース故モナコ公妃、ウインザー公爵夫人などといった著名人が顧客に名を連ねるハイジュエラーとしても知られています。
「VC & A」の始まりは、宝石商の娘であったエステル・アーペル(Estelle Arpels)と宝石職人の家に生まれたアルフレッド・ヴァン クリーフ(Alfred Van Cleef)の結婚で、永遠に残るものを創造したいという彼らの願いから設立されました。そのため、ブライダルにはとても縁のあるジュエラーで、パリ・ヴァンドームに初のブティックを出店した1906年から続く愛のメッセンジャーとも言われています。
オープンで気軽に入れるギンザ シックスのサロン最近、女性がジュエリーを購入し身に着ける時代になりましたが、ブライダルはやはり相手と一緒に選びたいもの。「ハイジュエラーのサロンは、敷居が高くて入りにくい」とか「予算に合うものがあるのだろうか?」などと思っている人が多いことだと思います。そんなカップルにお薦めなのがギンザ シックスにある「VC & A」のブライダルサロンです。同店舗は地下1階、地上2階で、2階がブライダルサロンになっています。先日、オープンして1年の同サロンの体験に行ってきました。通常、エントランスは扉が閉じられていますが、ギンザ シックスの同サロンはオープンで気軽に入れる雰囲気です。店内は、アール・デコ風の装飾が施されたシックな空間で、ブライダルやマリッジ用のアイテムが並べられたケースが置かれています。
店舗に入ると販売スタッフが、どのようなリングを探しているかヒアリングし、それに合うものを提案してくれます。ジュエラーの販売スタッフというとベテランを想像しがちですが、私の相手をしてくれたのは30歳前後のSさんで、気楽にいろいろと相談できました。価格帯も幅広く、意外と手に取りやすい価格のリングも豊富にありました。数点気になるものを選ぶと、奥のサロンに通され、指のサイズの測定や試着など商談がスタートしました。時間を気にせずゆったり選べるよう、席に着くとローズとラフランス、ベリーの香りを調合した「VC & A」オリジナル緑茶と「ヴァローナ(VALHONA)」チョコレートのサービスがあります。チョコレートももちろん、オリジナル包装です。
クオリティーやクラフツマンシップの丁寧な説明私がまず試したのは、“ロマンス”のエンゲージメントリング(0.38CT)と“エステル”のエタニティーリング(0.78CT)、それらに合わせやすい“タンドル エトワール ”のマリッジリングです。Sさんは“エステル”の裏側を見せながら「一つ一つ石の裏に窓があるミザジュールという技法を用いることにより、ダイヤモンドが輝くように仕上げてあります」と言います。なるほど、リング一つに熟練の職人技が隠されているのが良く分かります。Sさんは、商品の特徴はもちろんのこと、使用されているダイヤモンドや職人技などについて熟知しています。ブライダルのブックレットを示しながら、「ダイヤモンドは4C(カラー、クラリティー、カラット、カット)でグレードが決まります。『VC & A』はブライダルに縁の深いジュエラーということもあり、エンゲージメントリングのカラーはD、E(ほぼ無色透明)、クラリティーはVVS2(専門家が見ても、ほぼ傷や内包物がない)以上とグレードの高いものしか使用しません」と説明してくれました。
分かりやすい価格表で選びやすく、いろいろ試せる気になる価格ですが、“ロマンス”や“エステル”“ボヌール”など8種類のエンゲージメントリングの、グレードとカラット別の分かりやすい価格表があるので、それを見ながらデザインと価格を検討をすることができます。今回は体験なのでカラット数の大きい“エステル”を選ぶと、Sさんは、「重ね着けできるデザインのリングもあるので、ぜひ、試してください」と、私が気になっていた他のデザインのリングも追加で提案してくれました。“エステル”に、“ペルレ”のシンプルなものとエンゲージリング、掛けボタンをモチーフにした“クチュール”、華憐なフラワーモチーフの“フリヴォル”を重ねて試してみました。「10年後、20年後の記念日に、デザインの違うものを選びに来られるお客さまもいらっしゃいます」とSさん。日本では結婚に際して初めてジュエリーを購入する人の割合が高く、そしてその後の記念日にジュエリーを購入する顧客も多いようです。高額の商品を気軽にいろいろ試すことができ、楽しい時間でした。
エンゲージメントリングの納期は平均1カ月程度。1カラット以上になると時間がかかることもあるようです。「VC & A」では下見後、エンゲージメントリングを購入するとオリジナルのキャンドル、マリッジリングの場合はチョウが描かれたフォトフレームがプレゼントされるなど、こまやかな気配りも万全です。
ファッション業界から「VC & A」に転職して約1年半というSさんにジュエリー販売の感想を聞くと、「ファッションよりも高額品なので難しいこともありますが、一緒に楽しく選んで、共感してくださって、それがご購入につながるととてもうれしいです」と話します。結婚を毎に来店する女性やカップルと同世代だからこそ、同じ感覚で一緒に選べ、それが実績につながるのでしょう。
「敷が高い」「手が届かない」という既成概念にとらわれず、気になるジュエラーを訪れてもらいたいものです。