4月12日にメディアサイト「アーバン チューブ(URBAN TUBE)」をスタートしたアーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)。今なぜメディアサイトなのか。齊藤悟・事業支援本部 販売促進部 シニアマネージャーに聞いた。
WWD:このほどメディアサイトを立ち上げた理由は。
齊藤:弊社は多くのブランドを抱える中で、各ブランドがそれぞれにブランドの紹介となるウェブサイトを持っている。さらにECもあり、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」などのECモールにも出店している。お客さまがブランドのウェブサイトにアクセスしたとき、「ここはECではないのか?」と戸惑っている。さらに、ウェブサイトからECへ誘導はしているが、同じようなコンテンツが並んでしまった。そうなるとウェブサイト、ECと両方要るのか?という疑問が湧いた。ウェブサイトを統合することも考えたが、それぞれにジャンルも違う。そもそも、かつてはコンセプトブックを作っていて、その中で都市や人などを文字通り“リサーチ”し、ブランドのバックグラウンドなども紹介していた。そういったことをやりたいと思っていたが、ここ10年はECに戦略を集中していたことから、優先ではなかった。
WWD:この「アーバン チューブ」の中では物販はしないのか?
齊藤:サイトの下の方でECに飛べるようにしている。さらに、ミュージシャンやスナックのママ、スイス人作家など約20人のコラムを掲載する第3特集では、お題は自由にして何点か当社の商品を話題に入れてもらうようにしている。もちろん当社以外の商品も出てくるし、そこに制限はない。このサイト自体はアーバンリサーチが全面に出るわけではなく、一見すると分からないと思う。だから、サイトを見る人はアーバンリサーチが目当てではなく、また既存顧客ではないと予想する。新客を獲得する手段でもあり、ECの売り上げも伸びるのではないか。トラッキングもはめ込んでいるので、本当に売れるかどうかの検証もできる。
WWD:幅広い層の潜在顧客にアピールできることになるが、他にもあるのか?
齊藤:メディアにしておきたかったのは、「アーバンリサーチ ドアーズ(URBAN RESEARCH DOORS)」ではフェスを行っていたり、企業広報課は他業種のブランドのタイアップ案件を受けたりしているため。当社のショップを使って宣伝してほしいなどのニーズもあるが、やはり当社のブランドやショップが優先になってくる。そうなったときにフラットなメディア、プラットフォームを作っておくと便利なのではないかと考えた。この10年はECを伸ばすこと、構築することに力を注いできたが、次はくだらないけどおもしろそうなことをやってみようと思った。それが「アーバン チューブ」だ。
WWD:この10年のEC戦略の進捗状況は。
齊藤:2017年度は全売上高の約30%がEC売上高で、約200億円規模になっている。12~13年前からECを1つの店舗と捉え、実店舗同様のことをウェブでもやれるようにしてきたし、実店舗でできないことをウェブで可能にするなど進化してきた。例えば100店以上(現在は270店舗以上)の店舗全店にブログを開設して毎日アップしている。10年ぐらい前にはスタイリングを発信するアプリを開発。今では相談もできるようになっている。今後は、その相談の半分をAIでやろうと考えている。またマーケティングのデータをため込みながら、AIが何を進めればよいかを顧客にメールするなども進めたい。ゆくゆくはEC化率50%、500億円の売り上げを目指したい。時代はよりお客さま主導になると考えている。