オンワードパーソナルスタイルが展開するオーダーメードスーツ業態「カシヤマ ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA THE SMART TAILOR)」は、国内最大級の新コンセプトショップを大阪・本町のオフィス街に4月24日オープンした。今夏から本格展開するウィメンズのオーダースーツも同店で先行発売する。
今年移転したばかりのオンワード樫山大阪支店の1階に立地し、売り場面積は165平方メートル。欧州の古い建物をイメージした外観、左官仕上げなど手の温もりが伝わる内装、ライトグレーを基調としたクリーンで開放的な空間演出で、従来のメンズテーラーのイメージを一新する。壁面には生地や釦などのサンプルを一目でわかるように配置。店頭では、半製品の陳列や動画などで妥協のないモノ作りの姿勢を示す一方、圧縮パック状態のスーツを展示し、スマートテーラーの革新性と利便性をアピールする。
メンズでは3万〜5万円のスマートテーラーの他、6万円からの高級ライン「エスタブリッシュド1927」、ビジネスシューズのオーダーも取りそろえる。ウィメンズのオーダースーツはジャケット8型とパンツ1型、スカート1型からスタート。使用する生地はメンズの生地にウィメンズ専用生地を加えた115種類、裏地と釦はメンズと同じ40種類を用意した。
同業態はリアル店舗と訪問販売、EC サイトを連動するだけでなく、採寸・受注から納品までの工程を一気通貫で結び、過剰な検品工程の削減など効率化を図ることで、業界最速1週間での納品を可能にした。採寸は店舗のみならず、自宅やオフィス、学校など顧客の都合のいい場所と時間に熟練フィッターを手配する出張採寸を導入。中国・大連の自社工場で生産した製品は、工場内で圧縮パック梱包され、乾燥状態を保持しながら空港から顧客に直接配送される。到着後すぐに開封し、湿気の多い場所で1日干しておけば、シワのない元の状態に復元する。一度採寸したボディデータはサイト上のマイサイズに蓄積。2着目以降、採寸なしで手軽にECサイトから購入できるのが特徴だ。
昨年10月にスタートし、本町店は13番目の直営店。これまでオーダースーツに関心が低かったビジネスマンのニーズを捉えて、売り上げは当初計画の2倍で推移している。すでに5000着を販売した。関口猛・社長は「3~4月は新入社員や入卒業式のオケージョン効果もあり、さらにハイペースで伸びている。4月のEC売上げは前月比4倍になった」と好調ぶりを説明する。顧客の平均年齢は当初の48歳から41歳に下がり、幅広い年代に広がっているという。
「日本人にとってスーツを着る歴史は浅く、体にあったスーツで格好よく着こなせている人はまだ少ない。いいスーツをリーズナブルプライスで提供し、スーツの民主化をして偏差値を上げていきたい」と関口社長。そのために、生地サンプルやカタログの郵送などネット購入の障壁をより低くする方法も検討している。
夏からはメンズのシャツオーダーも開始する。秋以降、直営店以外の新たなチャネルも開拓し、「顧客とのタッチポイントを増やすことにも取り組む」。直営店は今後、交通量の多い場所に3、4店舗出店する予定。さらに、年内をメドに北米、欧州、中国での展開を視野に入れており、英語、中国語版のECサイトを準備中。事業拡大に伴い、来春、中国大連に第2工場が竣工し、ITシステムと連動したスマートファクトリーとして稼働する予定だ。