「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」や「マイン(MYNE)」などを手掛けるソスウの陵本望援・前社長はこのほど、同社のカフェ・レストラン事業を譲受し、新会社ワンズ ホールディング カンパニー(ONES HOLDING COMPANY)を設立。東京・神宮前のカフェとレストラン&バーをそれぞれ「ワンズ キャンティン ビオ(Ones Contine Bio)」と「ビストロ ワンズ(Bistro Ones)」にリニューアルした。
ファッション業界に飛び込んで27年、うちソスウに在籍すること20年。後年は社長として銀行との折衝からアジアンバイヤーとの交渉までを一手に担った“「ミハラ」の姉さん”的存在だった陵本社長は現在、バリスタの資格取得に向けてコーヒーやエスプレッソについて勉強中だ。「第2、第3かな?の人生をスタートしたカンジ。笑うやろ?」と言いながら、ソスウ本社と同じビルの1階カフェカウンターでドリンクをカップに注ぐ。彼女はなぜ、“大転身”を決意したのか?
WWD:ソスウの退社、そして飲食への転身には驚いた。その理由は?
陵本:実は、ずっと飲食をやりたいと思っていた。仕事のストレスが影響したのか悩んでいたアレルギーが、断食で消えたのが7年前。そこからマクロビに没頭して、「食と体は繋がっている。絶対、飲食をやらないと」と思ったのが、今から7年前くらい。1日4箱吸っていたタバコもやめた。当時から会社には「いつか飲食をやるから」と言い続け、一時は危機に瀕していた会社が立ち直り、スタッフも順調に育ったから決意できた。1階のカフェと5階のレストラン&バーは、“退職金”代わり(笑)。
WWD:ファッション業階で働いて27年、後ろ髪を引かれる思いはない?
陵本:全然ない(笑)。本当にやるだけやった。英語なんて全然できなかったのにバイヤーとケンカまで出来るようになったし、銀行との交渉も頑張った。今から4年くらい前、ソスウは本当に厳しかった。あの危機を乗り越えるだけの力を貸してくれたアジアのバイヤーには本当に感謝をしているし、(ソスウの三原康裕・現社長が手掛ける)三陽商会の「ブルーレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL CRESTBRIDGE)」と「ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」が決まった時は、何度ハイタッチして喜んだかわからない。TOKYO BASEともくっついて(TOKYO BASEは昨夏、ソスウの株式11.76%を取得した)、ソスウは昔に比べ一回り大きくなった。だからこそ、快く送り出してくれた。
WWD:ファッションと飲食は、近いようで遠いイメージだが。
陵本:違いはない、モノを作って出すのは、ファッションも飲食も同じ。生産者も大事だし、お客さんと喋って気に入ったら買ってもらえるのも一緒。違いは提供の早い、遅いくらい。バリスタの資格を取得して、カウンターに立って、お客さんとしゃべりまくりたい(笑)。これまでショールームで迎えてきたアジアンバイヤーを、これからはこのカフェカウンターで迎えるつもり。