ファッション関連企業の透明性を評価する企業ファッション レボリューション(FASHION REVOLUTION)は、ファッション関連企業の経営方針やガバナンス体制、サプライヤー情報の公開状況、サプライヤーに問題が発生した際の対応方針などの面から企業を格付けした報告書を発行した。
ファッション レボリューションは英国を拠点に置く企業。5年前に起きたバングラデシュのラナプラザ縫製工場崩落事故をきっかけに、ファッション関連企業が自社だけでなくサプライチェーンの労働環境にまで責任を持ち、透明性のあるモノ作りの重要性を喚起するために格付けを行っているという。
評価対象として選ばれた150ブランドの選定基準は年間売上高が5億ドル(約535億円)以上であること。各項目を250点満点で評価し、パーセントへ変換して評価する。評価項目は、企業が自社ウェブサイトなどで公開している報告書・リリースの量や内容など。したがって、公開情報が少ないブランドほど評価が低くなる。情報公開を促すことも目的としているため、敢えて公開情報のみを評価基準にしているという。
その中で同率1位は「アディダス(ADDIDAS)」と「リーボック(REEBOK)」で58%、次いで「プーマ(PUMA)」が56%、「H&M」が55%だった。その他にも「ギャップ(GAP)」が54%、「ザラ(ZARA)」「ベルシュカ(BERSHKA)」が42%など、ファストファッションブランドは昨今の風当たりの強さから透明性を強調する動きに転じているため、高い評価を得た。
一方で0%は「ロンシャン(LONGCHAMP)」や「マックスマーラ(MAX MARA)」「ディオール(DIOR)」、バーニーズ ニューヨーク(BARNEY’S NEW YORK)など12社で、10%以下には「シャネル(CHANEL)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「ヴェルサーチ(VERSACE)」「ディーゼル(DIESEL)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」などのブランドや、「アマゾン(AMAZON)」、ニーマン マーカス(NEIMAN MARCUS)の小売りなど、48社が格付けされた。
ファッション レボリューションは、「NGOやユニオン、学者たちでなければ本当の内情を明らかにできないため、われわれは意図的に公開情報という点に焦点を当てて評価してきた」と説明している。「シャネル」や「ヴェルサーチ」からはコメントを得られなかった。
8%と評価された「アルマーニ(ARMANI)」は、同社の活動は全てCSR(企業の社会的責任)とグループ全体のルールに則って活動しており、「サプライチェーンについても人権尊重はもちろんのこと、グループ全体と同じ基準を採用している。したがって、サプライヤーを慎重に選んでおり、同社の規範に完全に従うことを求めている」とコメントしている。