サザビーズ香港(SOTHEBY‘S HONG KONG以下、サザビーズ)で4月に開催されたジュエリーオークションで、最も高い価格で落札されたのは、モゴック産ルビーリングでした。落札価格は約11億7000万円。モゴックとはミャンマーの旧都ヤンゴンから約650km離れた山間地帯で高品質のルビーの産出地として知られています。1960年代の政変と鉱山の国有化により産出量が激減し、モゴック産のピジョンブラッドルビーは非常に希少性が高いと言われています。
モゴック産ルビーは紫色かかった赤が特徴で、大粒のものは少なく5カラット以上になるとダイヤモンドの価格をしのぐそうです。ルビーの産出量は、ダイヤモンドよりはるかに少ないようです。サザビーズで落札されたものは、24.7カラットと大粒で無処理。市場で出回っているルビーのほとんどが加工処理をされているため、極めて希少性が高いと言えます。
落札価格が億越えのジュエリーのほとんどが、ファンシービビッドイエローやファンシービビッドパープリッシュピンクなどのファンシーカラーのダイヤモンドですが、中には「カルティエ(CARTIER)」や「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」などの一流ブランドのジュエリーもあります。「カルティエ」のサファイアリングは約1億3000万円、「ヴァン クリーフ&アーペル」の1925年に制作されたブレスレットは約1億2000万円で落札されました。同ブランドのアイコニックなジップ ネックレスは約3700万円で競り落とされました。オークションでは、石自体のクオリティや希少性で高値が付くものと、時代を反映したデザインやクラフツマンシップが評価されるものがあるようです。名門ジュエラーがオークションに参加するのは、過去のアーカイブピースの確保だけでなく、希少な素材調達の意味もあるのだと思いました。