LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下の投資会社、L キャタルトン(L CATTERTON)でマネジング・ディレクターを務めるハリー・マークル(Harry Markl)は、消費者、ブランド、ECサイト、実店舗をつなげることを目的にしたAI(人工知能)搭載のソーシャル・ショッピングアプリ「ブラウジン(Browzzin)」を5月1日にローンチした。
「ブラウジン」は、ユーザーがアプリに画像をアップロードするとAIが1万以上のラグジュアリー・ブランドやハイストリート・ブランドの中から画像とマッチする商品を探し出し、その商品を売るECサイトに誘導してくれるというもので、過去のシーズンの商品にも対応する。検索にはトレンド、インフルエンサー、ブランド、価格帯などのフィルターをかけることができる。アプリに参加するブランドや小売業者は自分たちのランディングページを設定することができる。また、ユーザーはアプリにアップした画像を通して商品の売り上げに貢献可能な他、画像のパフォーマンスや売り上げ状況を確認することができる。「ブラウジン」は売り上げのマージンを得ることでマネタイズする。
もしオンラインで商品の在庫が見つからなければ「ブラウジン」が実店舗の在庫状況を調べ、在庫があれば店頭で商品が販売可能か、店頭から配送可能かまでサーチしてくれる。すでに「マッチズファッション ドットコム(Matchesfashion.com)」「エイソス(ASOS)」「ジョゼフ(JOSEPH)」「スチュアート ワイツマン(STUART WEITZMAN)」「ユニクロ(UNIQLO)」「トップショップ(TOPSHOP)」「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」などのECサイトやブランドがアプリに参加している。今後は1週間あたり20万商品を追加していき、世界で1番大きなファッションカタログになることを目指す。
クリエイティブ・ディレクターのジーン・ヴォ(Zean Vo)とともに同アプリを立ち上げたマークルは、「『ブラウジン』上では誰でもインフルエンサーやショッパー、またはその両方になることができる。ファッションのサプライチェーンに関係するすべての人がウィン・ウィンな関係を築けるんだ。私の経験上、ブランドはどのチャネルにマーケティング予算を充てるかに頭を抱えているようだが、ここでは露出もユーザー作成コンテンツ獲得も可能で、しかも料金が発生するのは商品の購買が行われた時だけだ。もちろん商業的な目的ではなく、ただ画像をシェアするためだけに利用することも可能だ」と語った。
「ブラウジン」のオフィスはシンガポールを拠点にしているが、本社は設けておらずロシア、日本、ポルトガル、モーリシャス、スペインなどの10のタイムゾーンそれぞれでエンジニアチームを構成している。各チームは好きな時に働き好きな時に好きなだけ休暇を取得できるという。
マークルはL キャタルトン アジアに所属しているものの、ラビ・タクラン(Ravi Thakran)L キャタルトン アジア会長兼マネジング・パートナーからの個人投資を除けば、マークルはL キャタルトン アジアからの投資を受けておらず、他の個人投資家から資金を調達している。
LVMH南・東南アジア・オーストラリア グループ会長でもあるタクランL キャタルトン アジア会長兼マネジング・パートナーは、同アプリはファッション業界の「かゆい所に手が届く」サービスだと評価している。