ロエベ財団(Loewe Foundation)が主催する「ロエベ クラフト プライズ 2018(LOEWE FOUNDATION CRAFT PRIZE以下、クラフト プライズ)」の優勝者にスコットランド出身の陶芸家、ジェニファー・リー(Jennifer Lee)が選ばれた。また、特別賞は陶芸家の桑田拓郎とフランスのテキスタイル・アーティスト、シモーヌ・フェルパン(Simone Pheulpin)が受賞した。
5月3日にロンドン デザイン ミュージアム(London Design Museum)で行われた授賞式のプレゼンターは女優のヘレン・ミレン(Helen Mirren)が務め、審査員は同プライズを設立したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)「ロエベ」クリエイティブ・ディレクターや、昨年の優勝者であるエルンスト・ガンペール(Ernst Gamperl)などが務めた。
優勝者のリーが制作した作品「Pale, Shadowed Speckled Traces, Fading Ellipse, Bronze Specks, Tilted Shelf」は、釉薬や装飾物を使わずに、原料となる粘土に金属酸化物を混ぜて作られた陶磁器。熱を使って金属酸化物のさまざまな色を引き出し、それを調整することで完成させたのが特徴だ。リーの作品は世界40カ所で展示されている。トロフィーと賞金5万ユーロ(約650万円)を手にしたリーは、彼女のロンドンのスタジオを拡張するのに充てたいと語った。
リーの優勝作品の他、特別賞を受賞した桑田の作品「Tea Bowl」とフェルパンの作品「Croissance XL, (XL Growth)」など、ファイナリスト約30人の作品はロンドン デザイン ミュージアムに6月17日まで展示される。
2回目の開催となった「クラフト プライズ」と応募作品を振り返りアンダーソンは「昨年と比べ、エモーショナルな作品が多かった。今回の『クラフト プライズ』で学んだのは、人生をかけて「1つの形」を作り上げる人々がいるということだ。クラフツマンシップにはそれぞれのペースがあり、必ずしも若者が1番才能があるとは限らない。だからこそプレゼンターにすべての年齢の人をインスパイアし続けるヘレンを選んだ。スピードもテクノロジーも素晴らしいが、時には深呼吸をして考える必要がある。社会がエモーション(感情)を失っているからこそ、手で触れ、感じる工芸品が必要なんだ」と語った。
また、来年の「クラフト プライズ」の授賞式の開催都市については明らかにしなかったが「パリや中国、僕たちの活動を歓迎してくれる世界のどの都市もあり得る」と話した。