インディテックス(INDITEX)の基幹ブランド「ザラ(ZARA)」は5月9日のオープンに先駆けて、前日に六本木ヒルズにオープンする日本初のショールーミング型ポップアップストアでメディア向けの体験取材会を行った。インディテックスの2017年度の売上高は253億3600万ユーロ(約3兆3190億円)で、EC売上高シェアは約10%、概算で3300億円近くに上っている。EC来訪数は約24億2000万に上るなど、強烈にECを強化しているところ。今回は既存の六本木ヒルズ店をクローズし館内で移転オープンする間の4カ月間を利用して、“ショッピング体験を豊かにする”試みと“オンラインとオフラインの統合”を推進するものとなる。
六本木通り沿いの元「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」跡地(六本木ヒルズノースタワー)に開くポップアップストアは約800平方メートルで、1階にはウィメンズ、メンズ、キッズ&ベビー、ファッション雑貨から厳選したコレクションを、まさにショールームのようにゆったりと陳列。2階はウィメンズのフィッティングルームを広々と構えている。
ビーコンとQRコードのシステムを搭載した店舗に入ると、自身のスマートフォンまたはスタッフが持ち歩くデバイスを用いて購入をすることになる。スマホの場合、まずはQRコードを読み取り、「ザラ」のアプリをダウンロードまたは更新することを求められる。トップページの画像や「ショップ選択」から六本木ポップアップストアに誘導。気に入った商品のタグにあるバーコードをスキャンするだけで対象商品が表示され、サイズを選択すると買い物リストに追加される。試着したいアイテムをタップして「試着する」を選ぶと、フィッティングルームに待ち時間が表示される一方で、当該商品がフィッティングルームに用意されるとアプリを通じて通知が来る、という段取りだ。
購買が決定すると、クレジットカード決済あるいは店内レジなど、支払い方法を決定。受け取り方法は配送(4990円以上なら送料無料)または、店舗での引き取り(クリック&コレクト)のどちらかで、店舗受け取りの場合は、13時までに購入すると当日の18時以降に受け取り可能、13時以降の場合は翌日の午後から受け取り可能だ。
デジタル化を強化している「ザラ」のプレス担当者は、今回の最新テクノロジー活用型ショールーミングストアの開設の狙いについて、「試着や買い物を簡単にする画期的な試みだ。通常の店舗では試着室が狭く、混雑している際には並んでいただくことも多い。今回のショールーミングストアでは、商品を持たずに手ぶらで試着室に行けるうえ、商品のサイズを一つ一つ確認しながらピックアップする必要もないし、試着待ちの間に他の商品を見て回ったりすることもできる。オンラインストアとリアルストアを統合し、素材やフィットなどを確かめながら安心して購入していただき、配送して手ぶらで帰ったり、あるいは店舗で当日あるいは翌日に受け取るなど、お客さまの都合に合わせて自由に使ってもらえれば」と説明する。
さらに、「天井の高い空間内に、日本家屋を再構築した木造のフレーム状の造作物やぜいたくな什器を配している。厳選された商品をゆっくりと見ていただけるような、ラグジュアリーな使い方をしながら買い物を楽しんでもらえれば。商品量は通常店舗よりも少ないが、1週間に2回新商品を投入したり、何週間かごとに新しいテーマで商品をプレゼンテーションしたりもするので、リピートしながら楽しんでもらいたい」と語る。
なお、ショップ中央では3週間限定で、金魚や森と鳥、森と雨などのフレームを選んだ動画撮影ができるサービスも行う。