東レの2018年3月期の繊維事業は、売上高が前期比6.7%増の9136億円、営業利益が同8.5%増の724億円と2期ぶりに増収増益になった。「ユニクロ(UNIQLO)」向けを中心にした原料からテキスタイル、製品一貫型ビジネスが拡大した他、エアバッグを中心にした自動車用途向けも好調だった。
一方で世界最大規模の年間約3億mの生産能力を持つ、綿ポリ混織物事業では苦戦が続いており、事業の再編を続けている。中国では1月30日付で東レが60%を出資していた子会社を、現地の繊維大手の即発集団に経営権を譲渡。18年3月期には36億円の損失を計上した。「インドネシアとマレーシアの子会社も苦戦を続けており、構造改革を推進中」(阿部晃一・副社長)だという。
今期は売上高9650億円、営業利益790億円と2期連続の増収増益を見込む。昨年6月に「ヒートテック」の生産などを委託する香港の大手カットソー企業パシフィック・テキスタイルズ(Pacific Textiles Holdings)に560億円を投じ28%の株式を取得。今年1月には16年に約3億ユーロ(約390億円)を投じ倍増させることを決めたイタリアに加え、日本でも高級人工スエードの生産増強を決めている。