アメリカのシューズ企業ロックポート グループ(ROCKPORT GROUP以下、ロックポート)は、日本の民事再生法に相当する米国連邦破産法第11章(以下、チャプター11)の適用をデラウェア州破産裁判所に申請した。同時に、ロックポートはチャールズバンク エクイティ ファンドIX(CHARLESBANK EQUITY FUND IX)子会社のCB マラソン オプコ(CB MARATHON OPCO以下、CB)を買い手候補に選び、ストーキング・ホース・ビッド契約の交渉を進めているという。
ストーキング・ホース・ビッドとは、チャプター11を裁判所に申し立てるのと同時に非公開で買い手候補(以下、ストーキング・ホース)を探し、後日開催される売却先選定のオークションにおいて、ストーキング・ホースの提示条件を上回る入札がない場合には、ストーキング・ホースを正式な買い主として確定させることを指す。ストーキング・ホースを立てることで債権者の不安を最小限に抑えるほか、事業価値の毀損を防いだり、オークション時の最低売却額をあらかじめ把握できたりなどのメリットがある。
CBはロックポートの卸売り、ECプラットフォーム、アジアやヨーロッパにおける小売事業などを取得予定。北米地域の小売り事業については、事業状況などを精査した後、買い受けるかどうかを判断する。買い手がつかない店舗については閉鎖するという。なお、同契約にはCBがロックポートのベンダーに対して支払いを行う義務も含まれているという。
ロックポートは6000万ドル(約65億4000万円)の与信の他に、2000万ドル(約21億8000万円)のDIPファイナンス(チャプター11を申し立てた企業が、申し立て直後から計画認可までの期間において、事業継続のために受ける一時的な運転資金融資のこと)を確保している。
ロックポートは71年、米ボストンで創業。86年にリーボック(REEBOK)の傘下に入るが、2006年にアディダスグループ(ADDIDAS GROUP)がリーボックを買収。15年にはアディダスグループがロックポートをバークシャー パートナーズ(BIRKSHIRE PARTNERS)やニューバランス(NEW BALANCE)などに売却した。
日本には商社を介して30年以上前に上陸し、スポーツ売り場やABCマートなどを中心に販路を広げてきたが17年10月、本国100%出資でロックポートジャパンを設立。ロックポートの日本事業に関しては好調で、ジャパン社は「事業継続に影響はない」という。