繊維商社、帝人フロンティアの日光信二・社長執行役員は、将来的な上場の意思を明らかにした。今年、帝人が創業100周年を迎えるにあたり、「これまでの帝人を振り返ると、グローバルに対する意識の早さ、市場の流れに対する俊敏な対応は優れていた。今後は、わが社の強みであるマーケティングを軸として、繊維を通して社会の役に立てる会社を目指したい。将来の上場を視野に入れて体制整備を図っていく」と決意を語った。帝人の繊維・製品事業グループ(国内15社、海外12社)の中核会社である同社は、帝人グループの中でも独立性を高めた経営体制に移行を進めており、執行役員制度を導入するなど、機動的な意思決定ができる体制を整備していた。上場の時期については「会社の体制が整ったと実感できる時が来たら、次のステップとして考えたい」と明言しなかった。
帝人フロンティアの2018年3月期の売上高は前期比6.4%増の2156億円、営業利益は同29.8%減の32億円で、増収減益となった。帝人のポリエステル繊維事業との統合が増収に寄与したものの、構造改革に対する費用の発生、ポリエステル短繊維ビジネスの不振が利益に影響した。全体の56%を占める衣料繊維事業では、スポーツ・アウトドア向けの機能性素材「デルタ(DELTA)」、ファッション衣料の戦略素材「ソロテックス(SOLOTEX)」、ユニホーム素材の販売が好調だ。
日光社長執行役員は「『デルタ』、『ソロテックス』は共にシリーズを広げ、進化している。『デルタ』はスポーツ、アウトドア、アスレジャーに欠かせない機能と風合いがある。『ソロテックス』はGMSなどの低価格商品の分野やファッション以外の分野にも拡大したい。差別化素材として、全方位に広げていく」と話した。アセアンでの新素材開発や生産技術の向上を目的として、今年1月、タイに帝人フロンティア・タイ・イノベーション研究室を設立した。