繊維商社のヤギの2018年3月期は、売上高は前期比1.5%増の1145億円、営業利益は同15.5%増の31億円、経常利益が同17.2%増の31億円、当期純利益が同4.9%増の16億円で、増収増益となった。売り上げ構成比率は、2次製品分野が68%、原料分野が15%、テキスタイル分野が12%で、その他は不動産関連など。“総合力発揮の強化”“新領域への挑戦”“構造改革の実行”の3点を重点方針とした、20年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「SPARKS 2020」の初年度を乗り切った。
八木隆夫・社長は「厳しい市況の中で、踏ん張った。必ずしも満足していないが、連結子会社8社は全社が黒字化した」と話した。「新しい商社像」を示すという目標を立て、昨年はニット用撚糸企業の山弥織物と熊谷和幸が手掛けるアタッチメント(ATTACHMENT)の子会社化、ブランドプロデュースを手掛けるバースデイとの合弁会社ボールドマン(BOLDMAN)の設立、デンマークのダウンアパレルブランド「イエティ(YETI)」の日本における販売ライセンス契約締結などさまざまな動きを見せた。山弥織物でモノ作りのプロセスを学ぶ社員研修を行い、今秋アタッチメントが監修したバッグ“クラムシェル(CRAMSHELL)”の発売を予定するなど、M&Aによる相乗効果が表れている。また、情報発信を目的として渋谷区にオープンした情報発信型ファッションラボ「ブツ/ヨク(BUTSU / YOKU)」は、「いろいろな人や情報が集まる場所として、私は“ミキシング・ポイント”と呼んでいる。取引先のニーズや悩みを聞きながら、双方が協力して課題を解決する新しいビジネスの拠点としたい」と期待を寄せる。今後の重点課題に挙げている海外販売体制の強化については「欧米を開拓したい。パリの「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION)」の出展は継続する。イタリアは駐在員がいて人脈もあるのでうまく活用したい。アメリカもチャンスがあると思う」などと話した。
19年3月期の売上高は同3%増の1180億円、営業利益は同22.7%増の39億円を予想している。