「WWD JAPAN.com」は5月19~25日、21日発売のファッション週刊紙「WWDジャパン」時計特集内の記事「時計を売るのに!?時計がほとんど登場しない動画続々」と連動し、紙面で紹介した時計・宝飾ブランドの最新動画について、フルバージョンのムービーを含む詳報記事をアップする。
「カルティエ(CARTIER)」はこの春、メンズの基幹時計として“サントス ドゥ カルティエ(SANTOS DE CARTIER以下、サントス)”のアップデート版を発売した。オリジナルの“サントス”が誕生したのは、1904年。その歴史は、飛行家のアルベルト・サントス・デュモン(Alberto Santos Dumont)が「カルティエ」3代目のルイ・カルティエ(Louis Cartier)と出会い、意気投合したところまでさかのぼる。ルイが、親友アルベルトに贈った時計が、世界初の男性向け実用時計“サントス”だ。
異業種との出会いが絆を生み、結果、世紀を超えて生き続ける新たな“何か”を生む――。アップデート版“サントス”の発売に際して「カルティエ」は今春コミュニケーション手段を改め、メッセージを一方的に押し付けるのではなく、出会いを創出したり、そこで生まれた絆を育んだり、“解釈の余地を残す”情報発信を徹底したりとコミュニケーション戦略を刷新した。サンフランシスコで開催したローンチイベントでは“サントス”は展示せず、複数のワークショップを開催し、男性の知的好奇心を満たす“ソーシャル・ギャザリング”の場を提供。一連のプロモーション&コミュニケーションについてアルノー・カレズ(Arnaud Carrez)=「カルティエ」インターナショナル・マーケティング&コミュニケーション・ディレクターは、「コミュニケーションの目的は、モノを訴えることではなく、その背景にあるストーリーを知ってもらうこと。知ってもらうには、『知りたい』と思ってもらうこと。それには、自由に考える余地を残すことだ。人間は興味を持つものについては、楽しみつつ、自分で調べるものだから」と話す。
“サントス”の動画は、アルノーの言葉通り、見る者によって千差万別・十人十色の感想が沸き上がりそうな不思議なものだ。ムービーは、アルベルト同様、空に強い憧れを抱いている男性を演じるジェイク・ギレンホール(Jake Gyllenhaal)が主演。「ナイキ(NIKE)」や「アディダス(ADIDAS)」「ラコステ(LACOSTE)」などファッションブランドのCMを手掛けてきたセブ・エドワーズ(Seb Edwards)は、「アルベルトの精神と空を飛ぶこと、そのスピード、そして危険に挑んだ情熱」をとらえようと試み、「彼の夢を想像することで、抽象的なファンタジーの世界にたどりついた」。ムービーでジェイクは、まるで空の上に浮かんでいるかのように雲に包まれた町から、さらに上の空を見つめ、空想しているうちに夢と現実が交錯。いつのまにか、上空に放り出されてしまう。超次元的な映像は、アルノーが話す通り、「自由に考える余地」を残している。