「WWD JAPAN.com」は5月19~25日、21日発売のファッション週刊紙「WWDジャパン」時計特集内の記事「時計を売るのに!?時計がほとんど登場しない動画続々」と連動し、紙面で紹介した時計・宝飾ブランドの最新動画について、フルバージョンのムービーを含む詳報記事をアップする。
「ボーム&メルシエ(BAUME & MERCIER)」はこの春、ブランド初の自社開発キャリバーを搭載した自動巻き時計“ボーマティック(BAUMATIC)”を発売した。下で説明するさまざまな機能を備えたスイスメード、しかもそうそうたるラグジュアリー・ブランドを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下のメゾンながら、その価格は33万円。ミレニアル世代にアプローチすべく、時計の構造に由来する特性にフォーカスしながらも、構造はおろか時計を全く見せない、業界の“当たり前”とは大きくかけ離れたコミュニケーションムービー作りに取り組んだ。
時計内部の機構や、機構に由来する機能にフォーカスする場合、これまでなら時計ブランドは重低音のBGMを流しつつ、美しく磨かれたパーツが並び、集まり、ケースの中に収まるCGを組み合わせるのが一般的だった。しかしこれは時計愛好家には効果的ながら、それ以外の人へのアピールには繋がりにくい。そして業界には同じようなムービーが溢れ、正直、違いもよくわからなくなっていた。そこで「ボーム&メルシエ」は、自社開発のキャリバーにより手に入れた4つの性能を感覚的に伝える、4本のごくごくみじかなショートムービーを作った。
最初のムービーは、時計にシリコン製のヒゲゼンマイを用いることで手にした特性をアピールするものだ。動画の中でコロコロ転がる2つのボールは、上が鉄、下がシリコン製。ステレオのスピーカーなど磁気を発する家電を配したコース上で転がすと、鉄のボールは磁気の影響を受けてフラフラしてしまうが、シリコン製のボールはスムーズに転がる。シリコン製のヒゲゼンマイを用いることで機械式時計にとって最も大きな問題、日常生活に潜む磁気に対する耐性(耐磁性と呼ぶ)が向上したことを訴える。
2本目のムービーは、“ボーマティック”の圧倒的なパワーリザーブをアピールする。機械式時計の多くは、ゼンマイをフルに巻き上げてから稼働し続けるのは40〜70時間程度。3日動き続ければ、その時計はかなり優秀だ。ただ“ボーマティック”のパワーリザーブは120時間。動画にある通り、5日は正確な時を刻み続けてくれる。
3本目の動画は、精度がテーマ。自社開発のキャリバーは、キチンとした認証を受け、1日の誤差をプラスマイナス5秒前後に収める。日々、一定のリズムを刻み続けることを、シンクロするメトロノームで表現した。
そして最後は、耐久性のアピール。この時計は、10年以上の使用を想定したストレステストを繰り返し、メンテナンスサイクルを5年以上に伸ばしている。動画の最後の「See You Later」という言葉通り、せっかくのスイスメードの機械式時計だからこそ、長く愛せることを訴える。