ファミリーマートが民泊事業最大手のエアービーアンドビー(Airbnb)と業務提携を締結し、国内に1万7100店あるファミリーマートを利用した鍵の受け渡しをはじめ、相互プロモーションなどを行う。まず今年度中に150店舗程度での利用を開始し、ファミリーマートがゲスト(宿泊者)とホスト(物件掲載者)をつなぐハブになることを目指す。6月15日に全国で住宅宿泊事業法が施行された後は、中食やオーラルケア、衛生用品といった商品の共同開発・提供をはじめ、宿泊事業を通じたさらなる取り組みに挑戦していく。
ファミリーマートの澤田貴司・社長は「シェアリング・エコノミーが拡大する中で、地域密着を掲げる当社とグロバールでの知見を持つエアービーアンドビーが提携することで、さらなる相互送客ができると考えた。地域のことを深く理解する加盟店が一人でも多くの旅行者にいろいろな体験を提供してほしい。すでに新宿・渋谷など国内4カ所で実験を行っているが、まずは東京・市街地を中心に展開をしていく計画だ」と話す。民泊のチェックインに関してすでにセブン‐イレブンがJTBとの提携を発表しているが、「われわれは単なる民泊における提携という関係性ではなく、共同で地元におけるライフサポートを目指したい」と強調する。
田邉泰之エアービーアンドビージャパン社長は、「地方創生を掲げるファミリーマートとわれわれのビジョンが合致したことで提携に至った。われわれは住宅宿泊事業からスタートした会社が、目指すところは体験型の旅。地元の文化を知り、人々と触れ合うことで、何度でも来たくなるような体験が生まれるはず。拡大する民泊市場だが、日本らしく地域にあった形で普及することが重要。当社はITが基盤となっているが、最終的には地元のエンパワーメントが欠かせない」と意気込む。住宅宿泊事業法施行を目前に国内ゲストの届け出が少ないことについては、「できるだけ多くの方が登録ができるよう、さまざまなサービスを提供していきたい」とした。
エアービーアンドは2008年に創業。世界191カ国8万1000以上の都市に宿泊ができるポータルサイトとして利用者を伸ばしてきた。グローバルでの登録部屋数は500万、通算の利用者数は3億人。日本国内でもすでに6万2000の登録があり、利用者数は580万人に上る。