5月19日にロンドン郊外バークシャーの聖ジョージ礼拝堂で結婚式を挙げ、英国王室入りした米女優のメーガン・マークル(Meghan Markle)=サセックス公爵妃殿下(以下、メーガン妃)のウエディングドレスを誰が手掛けるかについては、2017年11月の婚約発表時から注目の的だった。
あらゆる予想を覆し、一度も名前が挙がらなかった「ジバンシィ(GIVENCHY)」のクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)=アーティスティック・ディレクターが手掛けたことが判明したのは式当日のことで、驚きのコメントが飛び交った。
クレアは、誰のためにドレスをデザインしたのかを終始極秘にしていたという。これまでクレアが誰にも明かさなかったドレス製作秘話を、米「WWD」が聞いた。
WWD:ウエディングドレス、特にロイヤルウエディング用のドレスをデザインするにあたって難しかった点は?また、聖ジョージ礼拝堂という会場特有のしきたりなどはあった?
クレア・ワイト・ケラー「ジバンシィ」アーティスティック・ディレクター(以下、クレア):彼女のドレスを絶対手掛けたいと思ったし、彼女が最も美しく見えるドレスを作りたかった。メーガンからはモダンでフレッシュさを感じたから、ドレスのデザインにも彼女のイメージを投影したの。あと、オケージョンの内容に合致したデザインにすることも心掛けたわ。彼女は誠実で、優しく、温かく、オーラがあって、とても強い女性。彼女と仕事ができてとても楽しかった。このドレスのモダンさとシンプルさはダブルシルクキャディという素材に凝縮されていると思う。
WWD:5mもの長さのベールには、イギリス連邦に所属する53カ国を象徴する花があしらわれたと聞いた。
クレア:ベールについては特に綿密な打ち合わせをして、私が「イギリス連邦に所属する53カ国を象徴する花を刺しゅうして、式に一緒に参加できたら素晴らしいんじゃない?」と提案したら、彼女は即座に気に入ってくれたわ。
WWD:メーガン妃とはどうやって出会った?
クレア:今回のドレスの件で初めて会ったけど、彼女の物事に対する見方や国連機構での取り組みなどは前から知っていて、ずっと尊敬していた。今では個人的にとても親しくなったわ。
WWD:「ジバンシィ」のクチュール、メンズ、プレ・コレクションを手掛けるこの多忙な時期にメーガン妃のドレス製作が加わると、かなり多忙だったと思うが。
クレア:今回の件でやりたかったことが叶ったし、とても充実した仕事だったから全く苦ではなかった。私は子どもを持つ働く母親だから、マルチタスクをこなすのは日常茶飯事よ。
WWD:今回のドレスにかかった時間や人的リソースは?
クレア:ドレス、ベール、シューズ、ブライズメイドのドレスを手掛けるのに総勢50人が携わった。ドレスの制作時間は3900時間、4カ月だった。
WWD:ウエディングドレスの製作予定は今後もある?また、クチュールで発表する予定は?
クレア:私はモダニティーということを念頭においてウエディングドレス製作に取り組んでいるの。「ジバンシィ」のオート・クチュール・ビジネスはメード・トゥ・メジャーだから、わざわざランウエイにクラシックなウエディングドレスを登場させなくても、コレクションで見たデザインをベースにして、その人の希望に沿ったドレスを作り上げることができるの。これはファッションにおける最高級のサービスだと思うわ。メーガンのドレスは、誰もが予測しなかったものにできた点が気に入っている。クラシカルなドレスではないし、彼女がどういう女性かを象徴するドレスに仕上がったと思う。