コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)の2018年3月期決算は売上高が前期比3.1%増の109億7900万ユーロ(約1兆4272億円)、営業利益が同4.5%増の18億4400万ユーロ(約2397億円)、純利益が同0.9%増の12億2100万ユーロ(約1587億円)だった。
全体の売り上げの40%を占めるアジア太平洋地域は2ケタ成長で、とりわけ中国、香港、韓国、マカオは好調だったという。全体の9%を占める日本は、同6%増だった。製品別売上高を見ると、ジュエリーは同9.0%増と好調で、ウオッチは同0.6%増とわずかに回復した。ヨハン・ルパート(Johann Rupert)=リシュモン会長は、「カルティエ(CARTIER)」の“パンテール ドゥ カルティエ(PANTHERE DE CARTIER)”の復活などが成功したと分析した一方で、時計専業ブランドの売り上げは6%ダウンしたことから、「IWC」や「オフィチーネ パネライ(OFFICINE PANERAI)については販路などの改革を推し進めるとコメントした。
また、ブルクハルト・グランド(Burkhart Grund)=リシュモン最高財務責任者はレザーアイテムの強化を発表した。買収ではなく既存ブランドでレザービジネスを強化することで売り上げ増を狙う。同社は17年夏に買収した1945年創業のイタリアの高級レザーグッズブランド「セラピアン(SERAPIAN)」の工場を使用してグループ全体の生産性と専門性を高めるほか、消費者に響くクリエイティブで値ごろな製品の開発を進めるという。具体的には「モンブラン(MONTBLANC)」「クロエ(CHLOE)」「ダンヒル(DUNHILL)」「アライア(ALAIA)」などのブランドにおける強化を想定しているという。
ソフトラグジュアリー分野の強化を目指す同社は、ファッション&アクセサリー事業のトップの役職を新設し、6月1日付でエリック・バラ(Eric Vallat)が就任する。バラはルイ・ヴィトン ヨーロッパ(LOUIS VUITTON EUROPE)、ディオール(DIOR)の日本法人、ボンポワン(BONPOINT)などを経て、14年からJ.M. ウエストン(J.M. WESTON)の最高経営責任者を務めた人物。