ストライプインターナショナル(STRIPE INTERNATIONAL以下、ストライプ)がアリババ(ALIBABA)の日本法人と戦略的パートナー契約を締結し、両社が構想する新たな小売りのあり方“ニューリテール”の共同開発を念頭に、中国事業の拡大を図る。現状およそ1億元(約17億円)という中国市場での売上高を、3年後に7億元(約119億円)、10年後には100億元(約1700億円)にする巨大な構想だ。今後、中国事業にとどまらず、国内でも重要な位置付けとなるであろう“ニューリテール”という概念について、発表直後の石川康晴・社長を直撃した。
WWD:中国事業強化に向けて、アリババと提携に至った経緯とは?
石川康晴・社長(以下、石川):アリババとは中国最大のECモール「Tモール」への出店を含めて、2011年頃から関わりがあった。特に、ここ2年くらいニッチマーケティングに有効なマーケティングツールを作っているということを聞き、実験段階から使いたいと思っていた。今年ニューリテールを一緒に作っていく戦略的パートナーとして日本から4社を選出するということになり、3〜4カ月の協議を重ね、アパレル分野から当社を選んでいただいた。
WWD:そもそも、ニューリテールとは何なのか。
石川:まだ誰も正解を知らないわけだが、僕は“人のデータから行動データへ”移行することだと捉えている。これまでのオンラインとオフラインのデータ統合とは次元の違う統合。これまで「誰がどこでどのくらい買ったのか」という人を軸にした購買・在庫データが主流だったのに対して、アリババのシステムを活用すれば「店内で顧客はどのように動いたのか」「何を見て何を買わなかったのか」など、これまで販売員の肌感覚を頼りにしていた行動データを全て可視化できる。こうした行動データをもとに接客を効率化し、売り上げにつなげることができるだろう。
WWD:店舗とECの双方向でデータ化を進めるという点では、“オムニチャネル”と何が違うのか。
石川:日本では店舗で会員化した顧客をECに送客することがオムニチャネルの主流で、アメリカではウェブでターゲティングした顧客をECから店舗へ送客するような例が多い。ニューリテールではデータによる売り逃がしをなくすことで、店舗・ECにかかわらず全体の売り上げを底上げするようなイメージだ。
WWD:具体的に店舗ではどんなことが起こるのか。
石川:IoT接続のスマートハンガーによって誰がハンガーに触ったかがトラッキングできるし、来春導入予定のスマートミラーを使えば、試着時に店頭にないカラーバリエーションなどを提案できるようになる。また、「ホテル コエ トーキョー(HOTEL KOE TOKYO)」でもやっているようなタブレット状のスマートレジを導入することで、レジスペースも不要になる。