大手スーパーマーケットチェーンのウォルマート・ストアーズ(WAL-MART STORES INC.以下、ウォルマート)がブラジル事業から撤退する。「当社は常にポートフォリオの見直しを行っており、ブラジルにおける事業についてはあらゆる手段を講じてきた」とブレット・ビッグス(Brett Biggs)=エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高財務責任者は説明した。
ウォルマートは1995年にブラジルに進出し、現在は「サムズ クラブ(SAM’S CLUB)」「ウォルマート」「ビッグ(BIG)」「ボンプレコ(BOMPRECO)」をはじめとする13業態、465店舗を運営している。
同社がブラジル事業について初めて営業損失を計上したのが2009年で、16年には94億ドル(約1兆246億円)の売上高を計上したが依然として利益を出せず苦しんでいた。4月には投資会社アドベント・インターナショナル(ADVENT INTERNATIONAL)がブラジル事業の80%を買収するという話が浮上したが、ロイター(REUTERS)によるとウォルマートがブラジル当局に30億ドル(約3270億円)の追徴課税を支払う必要があることからも、この買収は合意に達しない可能性があるという。
また、同社は次なる投資先をインドに切り替えている。5月9日には07年創業のインドの大手EC企業フリップカート(FLIPKART)の株式77%を160億ドル(約1兆7440億円)で取得した。ダグ・マクミロン(Doug McMillon)=ウォルマート最高経営責任者は、「国の規模や成長スピードを踏まえると、インドは小売市場で最も魅力的なマーケットの1つだ。当社はグローバルな体制を整えてフリップカートと協働し、厳しい市場においても成長していく」と話した。